ネズミが出た空き家は本当に終わり

ネズミが出た空き家は本当に終わり?資産を守る緊急対策法

ネズミが出た空き家は終わりだ」という話を聞いたことがあるかもしれません。

特に、相続した実家が空き家になったり、長期間放置していた物件の管理を再開しようとした際に、そうした不安に襲われる方は少なくありません。

しかし、本当にネズミが出ただけでその空き家は価値がないのでしょうか?

結論から言えば、ネズミが出たからといってその空き家が「終わり」なわけではありません

しかし、放置すれば資産価値を著しく損ない、さまざまなリスクを引き起こすのは事実です。

この記事では、ネズミが空き家で発生する理由から、具体的な被害、そしてあなたの資産を守るための緊急対策と再発防止策まで、行政書士であり、宅地建物取引士、認定空き家再生診断士の資格を持つ専門家の視点から詳しく解説します。

この記事を読めば、ネズミ問題に対する正確な知識と具体的な解決策がわかり、大切な空き家を安心して管理・活用できるようになります。

目次

ネズミが出た空き家は本当に終わり?その誤解と資産リスクを解説

空き家の前で、不安げな表情で立ち尽くす30代くらいの日本人女性。女性の背中越しに見える空き家の窓には、ネズミのシルエットが描かれている。

「ネズミが出た物件は終わり」という話は、以下のような理由から広まったと考えられます。

  • 衛生面・精神的な不快感: ネズミがもたらす病原菌や、フン・尿による強烈な臭い、そして物音は、住む人にとって非常に大きなストレスとなります。
  • 被害の深刻さ: 建物の構造材、電線、家具などがかじられ、修繕費用が高額になるケースがあるため、「もう修復不可能だ」というイメージにつながります。
  • 売却の難しさ: ネズミ被害がある物件は買い手が見つかりにくく、売却価格が大幅に下がる可能性があるため、売り手は「もう売れない」と感じてしまいがちです。

確かに、これらの問題は無視できませんが、適切な対策を講じれば解決できます。ネズミの発生は、あくまで「管理不足」というサインであり、その空き家が持つ本来の価値が失われたわけではありません。

空き家でネズミが発生する理由とその社会的背景

近年、空き家は増加の一途をたどっています。都市部への人口集中や核家族化により、実家が空き家になるケースが増え、その結果として管理が行き届かない物件が増加しています。

ネズミは、餌と安全な隠れ家を求めて活動します。管理が行き届いていない空き家は、以下のような理由でネズミにとって格好の繁殖場所となります。

  • 人の出入りがない: 人の気配がなければ、ネズミは警戒心なく自由に活動できます。
  • 豊富な餌: 食べ物の残りかす、放置されたゴミ、庭の放置された果実などが餌となります。
  • 安全な隠れ家: 雑然とした室内、放置された家具、断熱材の中などは、ネズミにとって絶好のねぐらとなります

なぜ空き家にネズミが発生するのか?原因と特徴を知る

ネズミの侵入経路を示す建物の断面図のインフォグラフィック。基礎の隙間、壁の穴、屋根の隙間など、ネズミが侵入するポイントを矢印で強調している。

ネズミが出る家の特徴|汚い・管理不足・隙間など発生リスクとは

ネズミが発生しやすい空き家には、いくつかの共通点があります。

  • 掃除・換気がされていない: 長期間掃除や換気をしていないと、ホコリやカビが溜まり、ネズミが好む環境になります。
  • ゴミや不用品が放置されている: 食べ物の残りかすや生ゴミはもちろん、古新聞や段ボール、衣類などもネズミの巣材や隠れ家になります。
  • 建物の老朽化: 外壁や屋根に隙間やひび割れがあったり、基礎部分に穴が開いていたりすると、そこからネズミが簡単に侵入してしまいます。
  • 庭の手入れがされていない: 雑草が生い茂り、植木が放置されていると、ネズミの隠れ場所となり、家への侵入経路となります。

隣が空き家の場合にネズミ被害が拡大するケース

隣の家が空き家の場合、ネズミ被害のリスクはさらに高まります。隣家で増えたネズミが、壁の隙間や配管、庭の植木などを伝ってあなたの家に侵入するケースが非常に多いです。

特に、隣の空き家が倒壊寸前であったり、ゴミ屋敷のような状態になっている場合、ネズミだけでなく、シロアリやゴキブリといった他の害虫も発生し、被害が広範囲に及ぶ可能性があります。

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ネズミの侵入経路と室内のどこに注意すべきか

ネズミはわずか1cm程度の隙間でも侵入できると言われています。主な侵入経路は以下の通りです。

  • 基礎や床下の隙間: 換気口や配管の隙間、基礎のひび割れ
  • 屋根・天井: 瓦の隙間、雨どいの継ぎ目、通気口
  • 壁のひび割れ: 外壁のクラック、エアコンの配管穴
  • 窓やドア: 閉め切っていても、わずかな隙間から侵入
  • 配管: 下水管や排水管など、見えない場所から侵入

室内では、キッチンや洗面所などの水回り、そして天井裏や壁の中に注意が必要です。食べ物があり、暖かく、人目につかない場所をネズミは好みます。


ネズミの被害と空き家資産価値への影響

ネズミにかじられて被覆が剥き出しになった電気配線。その近くには、ネズミの小さなフンが散らばっている。

放置による被害拡大:家屋の劣化・家具や配線、火災・漏電リスク

ネズミを放置すると、被害はどんどん拡大します。

  • 建物の構造被害: 柱や壁、断熱材をかじり、建物の耐久性を低下させます。
  • 家具・家財の破損: 布団や衣類、家具などがボロボロにされます。
  • 電気配線の損傷: 電線をかじられると、漏電による停電や、最悪の場合は火災を引き起こすリスクがあります。これは非常に危険な被害です。

病原菌や害虫(ゴキブリ・シロアリ)など衛生リスク

ネズミはさまざまな病原菌を媒介し、フンや尿をまき散らします。これらの病原菌は、食中毒や感染症の原因となることがあります。

また、ネズミのフンや死骸はゴキブリやハエなどの害虫を呼び寄せ、さらにシロアリを繁殖させる原因にもなり得ます。ネズミを放置することは、建物全体を害虫の温床にすることにつながります。

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ネズミ被害による資産価値低下・不動産売却時の問題点

ネズミ被害は、不動産の資産価値を大きく低下させます。

  • 建物の評価減: 建物自体が傷んでいると判断され、評価額が下がります。
  • 売却時の心理的瑕疵: 買い手はネズミが出た物件を敬遠するため、なかなか買い手が見つからず、最終的に大幅な値下げを余儀なくされることがあります。

不動産取引では、売主は物件の状況を正確に買主に伝える義務(告知義務)があります。ネズミ被害を隠して売却した場合、後からトラブルとなり、損害賠償を請求される可能性もあります。


ネズミが出た空き家への緊急対策と即効性の高い駆除方法

ホームセンターの棚に並べられた、ネズミ駆除グッズの集合写真。粘着シート、殺鼠剤のパッケージ、ネズミ捕獲トラップなどが明確に写っている。

まず最初にやるべきこと|掃除・ゴミ、家具の片付けと処分

ネズミ対策の第一歩は、徹底的な掃除です。

  1. 換気: 窓やドアを開け、空気を入れ替えます。
  2. ゴミの処分: 食べ物や生ゴミ、ネズミの巣材になる可能性のある新聞紙、段ボールなどをすべて処分します。
  3. 家具の片付け: 不必要な家具や家財は処分し、ネズミの隠れ家をなくします。
  4. 掃除: ネズミのフンや尿の痕跡を拭き取ります。この際、病原菌が飛散しないよう、マスクと手袋を着用し、除菌スプレーなどを活用しましょう。

ホームセンターで揃うグッズと効果的な設置・捕獲方法(粘着シート・トラップ・殺鼠剤・忌避剤)

基本的な対策は、以下のグッズを組み合わせて行うことです。

  • 粘着シート: ネズミの通り道に複数枚を連結して敷きます。捕獲率が高いですが、ネズミの死骸の処理が必要です。
  • 捕獲用トラップ: ネズミを捕獲し、生きたまま処理できるタイプもあります。
  • 殺鼠剤: ネズミの餌に混ぜて設置します。効果は高いですが、ネズミが壁の中などで死んでしまい、悪臭の原因になることがあるため注意が必要です。
  • 忌避剤: ネズミが嫌う臭いや成分で、特定の場所から追い払います。天井裏や床下など、ネズミが潜みやすい場所に設置します。

プロ業者へ依頼する場合の作業内容と費用相場

自力での対策が難しい場合や、被害が広範囲に及んでいる場合は、プロの駆除業者に依頼するのが最も確実です。

業者は以下のようなサービスを提供します。

  1. 調査: ネズミの種類、侵入経路、巣の場所を特定します。
  2. 駆除・捕獲: 徹底的にネズミを駆除します。
  3. 侵入経路の封鎖: 再発防止のため、建物の隙間を塞ぎます。
  4. 清掃・消毒: フンや尿の掃除、消毒作業を行います。

費用は物件の広さや被害状況によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度が相場です。

駆除とあわせてやるべき定期的な換気・通水・掃除のポイント

駆除後も、ネズミが再び侵入しないよう、定期的な管理が不可欠です。

  • 換気: 定期的に窓を開け、湿気を逃がすことで、ネズミやカビ、シロアリの発生を防ぎます。
  • 通水: 2〜3か月に1度、すべての蛇口から水を出し、排水管の悪臭や乾燥を防ぎます。
  • 掃除: 部屋全体のホコリを取り、清潔な状態を保ちます。

再発防止と長期的な空き家管理のコツ

光が差し込む空き家の室内。床はきれいに掃除され、家具は整理されている。窓が開いており、換気をしている人物の後ろ姿が見える。

ネズミや害虫の侵入を防ぐための建物・室内の改善策

長期的な再発防止には、侵入経路を物理的に塞ぐことが最も効果的です。

  • 建物の補修: 外壁や基礎のひび割れ、屋根の隙間などを専門業者に依頼して修理します。
  • 防鼠対策: 換気口に金網を取り付けたり、配管の隙間をパテなどで塞ぎます。

空き家管理サービスや不動産専門家の活用とは?

ご自身で定期的な管理が難しい場合は、専門家への依頼を検討しましょう。

空き家管理サービスは、定期的な見回り、換気、通水、清掃などを代行してくれます。また、不動産専門家(行政書士、宅地建物取引士など)に相談すれば、売却や活用、相続に関する法的なアドバイスも受けられます。

松山市で空き家業務を専門にしている村上行政書士事務所では、単なる法律相談にとどまらず、宅地建物取引士、認定空き家再生診断士として、不動産の売却や活用、建物の診断を含めたトータルサポートが可能です。

防止グッズの設置と定期管理でできる自主対策

専門家に依頼する以外に、自主的にできる対策もあります。

  • 超音波式防獣機: ネズミが嫌がる超音波を発し、侵入を防ぎます。
  • 忌避剤: ネズミが嫌がる臭いのする忌避剤を定期的に補充します。
  • 定期的な見回り: 2週間に1度、物件を訪れ、ネズミのフンがないか、不審な痕跡がないかを確認するだけでも効果があります。

空き家とネズミ被害のよくある質問・トラブル事例Q&A

賃貸物件でネズミ発生時のクレームや引っ越し費用の請求対応

賃貸物件の場合、ネズミの駆除義務は原則として大家さん(貸主)にあります。しかし、借主の管理不足が原因と判断されるケースもあります。まず、賃貸契約書を確認し、速やかに大家さんまたは管理会社に連絡しましょう。

相続した空き家・放置物件での対応と活用・売却の検討ポイント

相続した物件にネズミがいた場合でも、落ち着いて対応しましょう。まず被害状況を把握し、駆除を優先します。その後、売却や賃貸、解体など、今後の活用方法を検討します。

ネズミ被害がある物件を売却する場合、専門家(行政書士や不動産会社)に相談し、適切な告知と、スムーズな売却に向けた戦略を立てることが重要です。

ネズミ駆除後に「いなくなった」のはなぜ?再発リスクと注意点

ネズミ駆除後、一時的に姿が見えなくなることがあります。しかし、これは一時的に隠れたり、別の場所に移動しただけで、再発するリスクは非常に高いです。

再発を防ぐには、侵入経路の封鎖と、定期的な清掃・管理が欠かせません。


まとめ|空き家のネズミ問題から資産を守る正しい知識と対策

モダンで清潔感があり、新たな命が吹き込まれた様子。

ネズミが出た空き家は「終わり」ではありません。しかし、放置すれば資産価値を著しく損ない、さまざまなリスクを引き起こします。

この記事で解説したように、ネズミの発生には必ず原因があり、適切な対策を講じることで、被害は最小限に抑えられ、再び価値ある資産として活用できるようになります

ネズミ問題は、単なる害獣駆除の問題ではなく、空き家全体の管理を見直す良い機会です。

もし、松山市で空き家のネズミ問題や、それに伴う資産の活用・管理についてお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。

村上行政書士事務所は、行政書士として法的な手続きをサポートするだけでなく、宅地建物取引士として不動産の専門知識を活かし、あなたの空き家が持つ本来の価値を守るための最適な解決策をご提案します。

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