心理的瑕疵物件の空き家

心理的瑕疵物件の空き家とは?売却の告知義務と対処法

空き家を相続したけれど、なんだか様子がおかしい…

孤独死があったかもしれない空き家、どうすればいいの?

松山市内で空き家を所有するあなたも、そんな不安を抱えてはいませんか?大切なご家族が亡くなった後、その家をどうすればいいのか途方に暮れてしまう方も少なくありません。

このページでは、空き家の専門家である行政書士・宅地建物取引士が、松山市の空き家所有者が知っておくべき「心理的瑕疵物件」について、基礎知識から具体的な対処法まで、分かりやすく解説します。


心理的瑕疵物件と空き家の基礎知識

まずは、「心理的瑕疵物件」と「空き家」が一体どのようなものなのか、その基本を理解しましょう。

心理的瑕疵物件とは?

心理的瑕疵物件とは、主にその物件の過去の出来事によって、住みたくない、買いたくないといった心理的な抵抗を感じる可能性がある物件のことを指します。

心理的瑕疵物件とは

具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 過去に事件や事故(自殺、殺人、火災など)があった
  • 建物内で孤独死が発生し、発見が遅れた
  • 近隣に嫌悪施設(墓地、火葬場、暴力団事務所など)がある

このような物件は「事故物件」と呼ばれることもあり、不動産の価値を大きく下げる要因となります。

空き家の定義と種類

空き家とは、人が住んでいない家屋を指します。行政上の定義では、「居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物」とされています。

空き家には、主に以下のような種類があります。

  • 一次的な空き家: 転勤などで一時的に空いている家
  • 二次的な空き家: 別荘や賃貸物件として利用されているが、現在は空室の家
  • 三次的な空き家: 相続や売却先が決まらないなど、長期間放置されている家

松山市の行政書士として、私たちが最も多くご相談を受けるのは、この三次的な空き家、特に相続した実家に関するものです。

心理的瑕疵と物理的瑕疵の違い

心理的瑕疵」と似た言葉に「物理的瑕疵」があります。

  • 物理的瑕疵: 建物そのものの不具合や欠陥。例:雨漏り、シロアリ被害、建物の傾きなど
  • 心理的瑕疵: 過去の出来事などによる心理的な嫌悪感。例:孤独死、自殺、事件・事故など

「物理的瑕疵」は、リフォームや修繕によって解決できることが多いです。しかし、「心理的瑕疵」は、いくら建物を新しくしても事実を消すことはできません。

この点が、両者の最も大きな違いです。例えば、雨漏り(物理的瑕疵)は屋根を修理すれば直りますが、孤独死(心理的瑕疵)の事実は永久に残ります。

このため、売買や賃貸の際には、物理的瑕疵とは異なる慎重な対応が求められます。

事故物件との関係性

「心理的瑕疵物件」は「事故物件」とほぼ同義で使われます。

不動産業界では、買主や借主が契約前に知っておくべき重要な情報として、これらの事案を「告知事項」と呼びます。孤独死や自殺などが発生した物件は、この告知事項に該当する可能性が非常に高くなります。

隠し機能に関する注意点

近年、孤独死の早期発見を目的とした見守りサービスや、それに伴う「隠し機能」が備えられた物件も増えています。例えば、電力の使用状況から安否を確認するシステムなどです。

これらの機能は、所有者が空き家を管理する上で役立つ一方で、賃貸に出す際には借主への説明が必要になる場合があります。プライバシーに関わるため、どのような機能が備わっているかを正確に把握し、借主の同意を得ることが重要です。

心理的瑕疵物件がもたらす影響とリスク

心理的瑕疵のある空き家をそのまま放置してしまうと、さまざまな問題が発生する可能性があります。

重要事項説明書

孤独死・自殺の実態

近年、一人暮らしの高齢者が増加している松山市でも、孤独死は深刻な問題となっています。

孤独死や自殺が発生した物件は、その後の清掃や特殊な消臭作業が必要になるだけでなく、近隣住民の方々へ与える心理的な影響も無視できません。

また、松山市では、空き家に関する条例や支援制度が整備されつつあります。このような事案は、地域の安全や美観にも関わるため、行政も注目しています。

心理的瑕疵物件がもたらす影響

心理的瑕疵のある空き家は、主に以下の影響をもたらします。

  • 不動産価値の大幅な下落: 一般的に、売買価格は20%~30%程度下落すると言われています。
  • 売却・賃貸の困難さ: 買い手や借り手が見つかりにくくなります。
  • 告知義務違反によるトラブル: 後述する告知義務を怠ると、契約解除や損害賠償請求に発展する可能性があります。

売却時の告知義務について

2021年10月に宅地建物取引業法施行規則が改正され、心理的瑕疵に関する告知義務のガイドラインが明確化されました。この改正により、告知の判断基準がより明確になりました。

  • 告知が求められるケース: 宅地建物取引業者が媒介する取引において、売主は買主に対し、事件や事故(自殺、殺人、火災など)、孤独死(発見が遅れ、特殊清掃が必要な状態)の事実を原則として告知しなければなりません。
  • 告知が不要とされるケース: 自然死や日常的な事故、病死などで、発見が早く、特殊清掃を要さない場合。ただし、買主や借主が「嫌悪感を抱く可能性がある」と判断される場合は、トラブルを避けるために告知することが賢明です。

この判断はケースバイケースであり、過去の判例や不動産取引慣行にも基づくため、専門家(行政書士や宅地建物取引士)に相談することが不可欠です。

心理的瑕疵物件の見分け方・調べ方

自分の所有する空き家が心理的瑕疵物件かもしれない」と不安に思ったら、まずはご自身でいくつかの情報を確認してみましょう。

パソコンの画面で不動産情報を検索している様子

不動産ポータルサイトを使った検索方法

Suumo(スーモ)やHOME’S(ホームズ)などの大手不動産ポータルサイトでは、物件情報の備考欄に「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」といった記載がされていることがあります。

ただし、これらの記載はあくまで目安であり、過去に事故があった物件すべてに記載されているわけではありません。

事故物件公示サイトを参照する

大島てる」のような、事故物件情報をまとめたサイトも存在します。これらのサイトは個人の情報提供に基づいているため、情報の正確性には注意が必要ですが、参考情報として活用できる場合があります。

専門家に相談する

最も確実なのは、私たちのような専門家に相談することです。空き家再生診断士の資格を持つ私たちが、建物の状況を調査し、法的な側面から的確なアドバイスを提供します。

空き家の価値と活用方法

心理的瑕疵のある空き家でも、工夫次第でその価値を高め、活用することができます。

リフォーム前後の家の写真

空き家の査定基準

一般的に、空き家の査定額は以下の要因で決まります。

  • 土地の広さ・形状、接道状況
  • 建物の築年数、構造、老朽化の度合い
  • 立地(松山市内のエリア、駅からの距離など)
  • 瑕疵の有無

心理的瑕疵がある場合でも、土地としての価値は残ります。

建物を取り壊して更地として売却する、という選択肢も検討できます。

リフォームを施した場合のデメリット

リフォームは、物件の物理的な価値を高めることはできますが、心理的瑕疵を消すことはできません。もし、あなたが多額の費用を投じてリフォームした後に心理的瑕疵の事実を告知すれば、買い手は「なぜ事前に教えてくれなかったのか」と不信感を抱き、交渉が難航する可能性があります。

最悪の場合、リフォーム費用を補填する形で売却価格をさらに下げざるを得なくなるケースも考えられます。心理的瑕疵物件の場合は、リフォームではなく、専門家と相談して最適な売却戦略を立てることが重要です。

心理的瑕疵物件の法律的側面

心理的瑕疵物件を扱う上で、特に重要なのが法律の知識です。

契約不適合責任とは?

以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたもので、売買契約の目的物(この場合は空き家)が、種類や品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が負う責任のことを指します。

もし売主が心理的瑕疵について告知義務があるにもかかわらず、その事実を隠して売却した場合、売主は契約不適合責任を問われます。買主は、この責任に基づいて以下の請求ができます。

  • 追完請求: 瑕疵を直すように要求する
  • 代金減額請求: 売買代金の減額を求める
  • 損害賠償請求: 瑕疵によって生じた損害の賠償を求める
  • 契約解除: 契約自体を無効にする

特に、心理的瑕疵は物理的に修復が困難なため、代金減額や損害賠償、契約解除に発展する可能性が高いです。

扱い業者や専門家の選び方

心理的瑕疵物件を扱う際は、専門知識と経験が豊富な業者を選ぶことが非常に重要です。

  • 行政書士: 遺言書や相続手続き、法的な側面から空き家の問題を解決します。
  • 宅地建物取引士: 不動産売買のプロとして、適切な価格査定や売却活動を行います。
  • 空き家再生診断士: 空き家の状態を診断し、最適な活用方法を提案します。

当事務所は、これらの専門資格をすべて保有しており、松山市の空き家に関するあらゆる問題をワンストップで解決することができます。


賃貸における注意点

心理的瑕疵のある空き家を賃貸に出す場合も、同様に告知義務が発生します。

賃貸契約書にサインする手のイメージ

賃貸物件における事故歴の確認方法

貸主は、借主に対し、物件の過去の出来事を正確に伝えなければなりません。

万が一、告知を怠って後から借主とのトラブルになった場合、契約解除や損害賠償請求に発展するリスクがあります。

借主の権利と義務について

借主は、告知事項を知った上で契約を結ぶ権利があります。

「告知事項あり」の物件は、家賃を相場より安く設定することで、借り手を見つけやすくなることがあります。


心理的瑕疵物件の新築物件での考慮

新築の家を建てる際にも、心理的瑕疵に注意が必要です。

窓から差し込む光が明るい、清潔な新築住宅のリビング。

新築でも注意が必要な理由

新築物件の場合でも、その土地で過去に何があったか(例:近隣での事件、地中の埋設物など)によって心理的瑕疵となる可能性があります。特に、分譲地やマンション開発地の場合、開発前に土地の履歴をしっかり確認することが重要です。

訳あり物件としてのライフスタイル

心理的瑕疵物件であることを承知の上で、あえて購入・賃貸する人もいます。全く気にしない方も増えてきたように感じます。相場より安く購入できるため、ライフスタイルに合わせて家をカスタマイズできるといった理由です。このような物件の需要も存在することを理解しておきましょう。

まとめ:空き家と心理的瑕疵物件の未来

松山市でも空き家問題は今後ますます深刻化していくことが予想されます。それに伴い、心理的瑕疵物件も増加していくでしょう。

しかし、近年では、このような物件を専門に扱う不動産業者や、社会貢献の一環として利活用を模索するNPO法人なども増えてきています。大切なのは、物件の事実を正確に把握し、その上で最善の道を選択することです。

空き家に関するあらゆる情報を把握し、「問題の空き家」を「未来の可能性を秘めた空き家」に変えていきましょう。

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行政書士として、宅地建物取引士として、そして認定空き家再生診断士として、あなたの空き家問題を全力でサポートします。初回は無料相談を承っております。

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