空き家の持ち主は誰?調べ方のポイントと注意点について

空き家の持ち主を調べる理由と知っておきたい注意点

松山市内で気になる空き家、放置されたままの空き家を見て「この空き家、どうなっているんだろう?」「持ち主は誰なんだろう?」と思ったことはありませんか?空き家の持ち主を調べることは、空き家問題を解決していくうえで、さまざまなメリットや必要性があります。しかし、同時に知っておくべき注意点も存在します。

松山市における空き家問題の現状と課題

松山市でも、空き家の増加は深刻な問題となっています。少子高齢化や人口移動により、住む人のいなくなった住宅が増え続け、地域コミュニティの衰退、景観の悪化、防犯・防災上のリスク増大といった課題が顕在化しています。特に、適切な管理がされていない空き家は、倒壊の危険や害虫・害獣の発生源となることもあり、近隣住民の方々にとって大きな不安材料となります。

持ち主・所有者調査が必要なケースとは

空き家の持ち主を調べる必要があるのは、具体的に以下のようなケースです。

  • 隣の空き家が気になっている(購入・活用を検討したい)
  • 空き家が原因でご自身の土地に被害が出ている(越境、倒壊の危険など)
  • 空き家を有効活用したいと考えている(賃貸、リノベーションなど)
  • 相続した実家が空き家になったが、名義がどうなっているか確認したい
  • 空き家対策の補助金・助成金を利用したいが、所有者情報が必要

空き家調査でよくあるトラブル・注意点

空き家調査は、個人の情報に関わるデリケートな問題も含まれます。

以下の点には特に注意しましょう。

  • 個人情報の取り扱い: むやみに所有者の個人情報を聞き出したり、公にしたりすることは避けましょう。特に固定資産課税台帳の利用は、課税目的以外での使用が制限されており、個人のプライバシー保護等のため、税務所管課や個人情報保護関係課との協議・調整が必要です。ただし、登記簿に記載されている所有者の氏名や住所など一般公開情報に一致する情報に限っては利用可能です。
  • プライバシーの侵害: 空き家の敷地内に無断で立ち入ったり、窓から中を覗き込んだりする行為は、プライバシーの侵害にあたります。
  • 費用と時間: 調査方法によっては費用がかかったり、時間がかかる場合があります。
  • 所有者の状況: 所有者がすでに亡くなっているケースや、複数人で共有しているケースなど、状況は様々です。

空き家の持ち主を調べる5つの方法

空き家の持ち主を調べる必要がある時、どのように進めれば良いのでしょうか?ここでは、具体的な調査方法を5つご紹介します。

方法1 まずは空き家かどうかを調べる方法

見た目では空き家のように見えても、一時的に不在にしているだけの場合もあります。まずは、本当に空き家であるかを確認することから始めましょう。

  • 郵便受けの確認: 郵便物が溜まっているか。
  • 庭の手入れ状況: 雑草が生い茂っているか、手入れされているか。
  • 電気メーターの動き: 電気の使用状況がゼロに近いか。
  • カーテンや窓の状態: 長期間閉めっぱなし、埃が積もっているか。

方法2 法務局で登記簿謄本・登記事項証明書を取得する

最も確実で基本的な方法は、法務局で登記簿謄本(現在は登記事項証明書と名称が変わっています)を取得することです。 不動産の所有権は登記されており、その情報が記載されています。地番が分かれば、誰でも取得することができます。

  • 管轄の法務局: 松山市の空き家であれば、松山地方法務局が管轄です。
  • 必要な情報: 土地の「地番」と建物の「家屋番号」が必要です。(方法4で解説します)
  • 取得費用: 1通あたり、窓口での書面請求は600円、オンライン請求で郵送受取の場合は520円、オンライン請求で窓口受取の場合は490円の手数料がかかります。」 参照元: 各種証明書等の手数料が変わります – 法務省

方法3 登記情報提供サービスやインターネット活用のメリット

法務局に出向かなくても、オンラインで登記情報を取得できる「登記情報提供サービス」があります。

  • メリット: 法務局の窓口時間以外にも利用でき、手軽に情報が得られます。手数料も窓口より若干安価です。
    • 利用時間: 平日 午前8時30分から午後11時まで、土日祝日 午前8時30分から午後6時まで(年末年始は休業)。地図及び図面情報は平日 午前8時30分から午後9時まで利用可能です。
  • 注意点: 取得できる情報は登記事項要約書に準ずるもので、証明書として利用できない場合があります。正式な証明書が必要な場合は、窓口や郵送での請求が必要です。

方法4 地番・家屋番号の調べ方と必要な情報

登記簿謄本を取得するためには、その不動産の「地番」と「家屋番号」が必要です。これらは、一般的な住所とは異なります。家屋番号は、その建物が建っている土地の地番を基に定められることが原則ですが、必ずしも地番と完全に一致するとは限りません。例えば、一つの地番上に複数の建物がある場合や、土地の分筆・合筆があった場合などに異なることがあります。

  • 固定資産税課税明細書: 該当する不動産の課税明細書があれば、そこに記載されています。ご自身の土地や隣接する土地の明細書を確認してみましょう。
  • 公図・字図の確認: 法務局で取得できる公図(字図)や、固定資産税課税台帳附属地図で、場所と地番・家屋番号を照合できます。
  • ブルーマップ: 市販されている住宅地図の「ブルーマップ」には、住居表示と地番・家屋番号が併記されているため、非常に便利です。
  • 市役所での確認: 松山市役所の固定資産税課で、特定の土地の地番を教えてもらえる場合があります。(個人情報保護のため、所有者に関する情報は教えてもらえません)
  • 法務局への直接問い合わせ: 敷地が分筆されているなど、住宅地図と公図で敷地形状が異なる場合は、法務局に直接相談し、地番を確認することが必要です。

方法5 郵送や窓口・オンライン請求の手順

登記簿謄本の取得方法は、大きく分けて以下の3つです。

  • 窓口請求: 管轄の法務局に直接出向きます。申請書に必要事項を記入し、手数料を支払います。近隣にお住いの方は法務局での取得が間違いないです。
  • 郵送請求: 申請書と返信用封筒、手数料分の収入印紙を同封して郵送します。空き家の場所から遠方に住まわている方におすすめです。
  • オンライン請求: 登記情報提供サービスや、法務局のオンライン申請システムを利用します。操作や扱いになれていないと取得が難しいかもしれません。

登記簿謄本の取得がよく分からないと感じる方は、ぜひ、村上行政書士事務所にお任せください。


空き家所有者の連絡先を知るための調査・交渉の進め方

登記簿謄本で所有者が判明しても、住所が古い、連絡先がわからないというケースも少なくありません。ここでは、所有者の連絡先を知るための調査と、その後の交渉の進め方について解説します。

登記簿謄本からわかる情報・注意すべき点

登記簿謄本には、所有者の氏名と住所が記載されています。しかし、記載されている住所が最新ではない、あるいはすでに亡くなっているケースもあります。建物登記簿謄本により所有者を特定できない場合は、土地登記簿謄本を用いて土地所有者を明らかにし、土地所有者からの情報提供により空き家所有者を特定できる場合があります。登記されていない建物は、登記簿謄本では利用できません。

  • 住所が古い場合: 転居している可能性が高く、記載された住所に手紙を送っても届かないことがあります。登記簿謄本上の住所が空き家の住所のままになっている場合、所有者を追跡し特定することが困難です。
  • 所有者が死亡している場合: 登記簿上は亡くなった方の名義のままになっていることがほとんどです。この場合は、相続人を特定する必要があります。(次章で詳しく解説します)

近隣住民・地域への聞き込み調査

地道な方法ですが、近隣住民の方々への聞き込みが有効な場合があります。長年住んでいる方であれば、所有者の現在の状況や連絡先を知っているかもしれません。現地調査と併せて聞き込みを行うことで、作業の省力化につながる利点があります。ただし、調査対象区域のコミュニティが発達していること、自治体と住民や自治会等との関係が密であることが前提となります。

  • ポイント: 事情を丁寧に説明し、失礼のないように配慮しましょう。個人情報の聞き出しは慎重に行い、相手に不信感を与えないことが重要です。

空き家バンクや自治体サービスの活用方法

松山市では、空き家対策の一環として「空き家バンク」や関連事業を行っている場合があります。

  • 松山市空き家バンク: 空き家の売却や賃貸を希望する所有者が登録している場合があります。直接所有者の情報が得られるわけではありませんが、マッチングの可能性を探ることができます。
  • 自治体の空き家対策担当課: 担当課に相談することで、所有者への情報提供を促したり、連携して対応を進めるケースもあります。ただし、個人情報保護の観点から、直接所有者情報を教えてもらえることはありません。また、固定資産課税台帳の利用は、個人情報保護関係課との協議・調整が必要です。
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司法書士や不動産会社への依頼と費用相場

個人での調査が難しい場合や、より専門的な情報が必要な場合は、専門家に依頼するのも一つの手です。

  • 司法書士: 登記情報や相続関係の調査に専門的な知識を持っています。費用は調査内容によりますが、数万円からが目安です。当事務所では提携先の司法書士へお繋ぎすることができます。
  • 不動産会社: 売買や賃貸を前提とする場合、所有者調査をサポートしてくれることがあります。特に、買主側からの依頼であれば、売却意向の確認も含めて動いてくれる可能性があります。費用は成功報酬や着手金など、契約内容によります。

所有者不明・持ち主が死亡した空き家のケース対応

空き家問題で最も複雑なのが、所有者が不明な場合や、登記上の持ち主がすでに死亡しているケースです。

所有者不明空き家の調査方法と管理リスク

所有者不明の空き家は、特定空き家に指定されやすく、近隣への悪影響や、倒壊・火災などのリスクが高まります。このような空き家は、将来的に市が強制的に解体する「代執行」の対象となる可能性もあります。

  • 調査方法: 固定資産税台帳の閲覧請求(閲覧のみで、個人情報は得られません)、戸籍調査(限定的な場合)、弁護士や司法書士への依頼による職務上請求など、専門的な知識と手続きが必要になります。
  • 管理リスク: 所有者不明の空き家は、適切な管理がされず放置される傾向にあり、地域のリスクを高めます。

持ち主が死亡している場合の相続人調査のポイント

登記上の所有者が死亡している場合、その空き家は相続人全員の共有財産となります。活用や処分には、相続人全員の同意が必要です。

  • 戸籍謄本の取得: 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を辿り、法定相続人を特定します。
  • 遺産分割協議: 相続人全員で空き家の処分方法(売却、共有、特定の人への承継など)について話し合い、合意する必要があります。
  • 専門家への依頼: 相続人が多数いる場合や、関係性が複雑な場合は、弁護士や司法書士・行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

まとめ|空き家の持ち主調査で押さえるべきポイント

松山市の空き家に関するお悩みは、多岐にわたります。気になる空き家の持ち主を調べることは、その後の活用やトラブル解決の第一歩です。

空き家の持ち主調査で押さえるべきポイントは以下の通りです。

  1. 目的を明確にする: なぜ所有者を調べるのかをはっきりさせましょう。
  2. 法務局の活用: まずは法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得することが基本です。
  3. 地番・家屋番号の特定: 登記情報を得るためには、正確な地番と家屋番号が必要です。家屋番号は通常、地番を基に定められますが、必ずしも一致するとは限りません。
  4. 専門家の活用: 個人での調査が難しい場合や、相続、交渉が絡む場合は、行政書士、司法書士、不動産会社などの専門家を頼りましょう。
  5. プライバシーへの配慮: 常に個人情報保護とプライバシーに配慮した行動を心がけましょう。特に固定資産課税台帳から情報を得る場合は、個人情報保護関係課との協議・調整が必要であることを留意してください。

当事務所は、松山市の空き家問題に特化した行政書士事務所であり、空き家再生診断士の資格も保有しております。また、司法書士・不動産業者とも提携しております。そのため、空き家の持ち主調査から、相続、売却、活用方法のご提案まで、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なサポートを提供することができます。

「この空き家、どうにかしたいけど、何から手をつけていいか分からない…」 「所有者調査って、自分でできるの?」 「複雑な空き家問題、誰に相談すればいいの?」

このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度当事務所にご相談ください。 松山市の空き家に関するご相談は、初回無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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