空き家 水道トラブル

知らないと損する空き家の水道管トラブルとその解決法どうする?

松山市で空き家専門の行政書士をしている村上行政書士事務所です。空き家は放置すると思わぬ水道トラブルを発生させ、所有者に多大な負担をかけてしまいます。なかでも、水道管トラブルは見えにくい「時限爆弾」のようなものです。発見が遅れると、家屋への甚大な被害、高額な請求、さらには近隣トラブルや行政指導に発展しかねません。

この記事では、空き家所有者が「知らなかった」では済まされない水道管トラブルの重要ポイントと対策、そして松山市の支援制度を簡潔に解説します。あなたの空き家を健全に保ち、将来の選択肢を広げる一助となれば幸いです。もしご自身での対応が難しい場合は、お気軽にご相談ください。


知らないと損する!空き家水道トラブルの全貌

空き家の水道管トラブルは、単なる設備の故障ではありません。所有者の財産、近隣住民、そして地域社会全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

空き家が抱える水道トラブルのリスク

長期間使われない水道管は、以下のような問題を引き起こします。

トラブルの種類具体的なリスク想定される被害・影響
水道管の凍結水道管内の水が凍結し、体積膨張で管が破裂高額な修繕費用、水道料金の高騰、近隣への浸水被害
水道管の腐食・サビ長期間の不使用でサビや汚れが蓄積、水質悪化、管の破損赤水・青水の発生、水道管の交換費用、健康被害リスク
悪臭の発生排水トラップの封水蒸発、雑菌繁殖、下水の臭い逆流建物への臭い染みつき、売却・賃貸困難化、衛生環境悪化
漏水水道管の劣化や破損、所有者不在による発見の遅れ家屋の腐食、シロアリ発生、建物傾斜、高額な水道料金
不法侵入・不正使用水道メーターの盗難、不法侵入者による水道の無断使用メーター再設置費用、高額な水道料金請求、防犯上の問題
害虫・害獣の発生排水トラップの機能不全、湿気、外部からの侵入病原菌媒介、建物の柱等への被害、さらなる悪臭
特定空き家認定リスク管理不全(悪臭、害虫、老朽化)による行政指導固定資産税の優遇措置解除(最大6倍)、行政代執行のリスク
近隣への影響漏水による浸水被害、悪臭、害虫発生、景観悪化近隣住民とのトラブル、損害賠償請求、地域の不動産価値低下
法的責任管理不十分による損害発生(無過失責任)、契約不適合責任損害賠償責任、高額な訴訟費用、売却後のトラブル
不動産価値の低下老朽化、悪臭、害虫、管理不全による負のイメージ売却価格の低下、買い手が見つかりにくい、活用困難化

これらのトラブルは相互に影響し合い、「負の連鎖」を生み出します。放置すると、特定空き家認定固定資産税の優遇解除で最大6倍に!)や不動産価値の著しい低下、さらには法的責任を問われる可能性も出てきます。

水道管破裂の甚大な被害と所有者が負う法的責任

水道管の破裂は、空き家にとって特に壊滅的な被害をもたらす可能性があります。所有者が不在であるため、破裂に気づくのが遅れ、被害が広範囲に及び、その結果として甚大な経済的損失や法的責任が発生することが少なくありません。

  • 甚大な経済的被害: 2階の水道管破裂で6部屋に浸水し、1,000万円もの損害が出たケースや、地中配管の破裂で100万円超の修理費がかかるケースもあります。空き家では発見が遅れるため、被害が拡大しやすいのです。
  • 重い法的責任: 空き家の管理不備による漏水で近隣に損害を与えた場合、所有者は「知らなかった」では済まされません。過失がなくても責任を負う「無過失責任」を問われる可能性もあり、売却後も「契約不適合責任」でトラブルになるリスクがあります。

具体的な被害事例として、木造2階建ての空き家で2階の水道管が破裂し、6部屋中4部屋に浸水被害が及んだケースが報告されています。この事例では、水道を止水していなかったために漏水が続き、総額1,000万円もの損害が発生しました。また、消火栓の凍結破損が原因でビル内に水が噴き出し、約3,000万円の被害が出たという極めて高額な事例も存在します。これらの事例は、水道管の破裂がどれほど大きな損害を引き起こしうるかを示しています。

水道契約は「コスト」か「投資」か?

空き家の水道契約は、将来計画と管理体制によって最適な選択が異なります。

  • 契約継続のメリット(推奨):
    • 水道管の劣化防止: 定期的な通水でサビや腐食を防ぎ、管の寿命を延ばします。
    • 悪臭・害虫発生防止: 排水トラップの封水が維持され、衛生的です。
    • メンテナンスが容易: 清掃や換気など、他の管理作業と並行して行えます。
    • 売却時の魅力向上: 内見時に水回り設備が確認でき、購入希望者に安心感を与えます。
    • ただし、基本料金は発生し、不正使用のリスクもゼロではありません。
  • 契約停止のメリット:
    • 水道料金の削減: 基本料金の支払いが不要になります。
    • 凍結・水漏れリスクの物理的回避: 管内の水を抜くことで破裂を防げます。
    • 解体予定や長期不在時には有効です。
    • ただし、封水切れによる悪臭や害虫侵入のリスクが高まるため、排水口の密閉などの追加対策が必要です。

明確な活用や解体の予定がない限り、定期的な通水を伴う契約継続は、潜在的な甚大被害を回避する上で費用対効果が高い「投資」と考えるべきでしょう。


凍結から空き家を守る!賢い対策

冬場の空き家管理において、水道管の凍結は最も注意すべきトラブルの一つです。適切な対策を講じることで、高額な修繕費用や近隣への被害を未然に防ぐことができます。

愛媛・松山でも油断禁物!凍結リスク

松山市は比較的温暖ですが、冬場は氷点下になる日もあります。特に朝晩の冷え込みや強い寒波の際は、凍結リスクが無視できません。一度凍結・破裂すれば、発見の遅れから大規模な被害に発展しやすいのが空き家の特徴です。

水道凍結を防ぐ具体的な対策

複数の対策を組み合わせる「多層防御」が効果的です。

  • 配管の保温: 専用の保温チューブや断熱材で、露出した水道管や蛇口、給湯器周りをしっかり覆いましょう。
  • 水抜き作業: 長期間家を空ける際の最も確実な方法。元栓を閉め、すべての蛇口を開いて管内の水を完全に抜きます。給湯器の水抜きも忘れずに。
  • 夜間の少量の通水: 水が動いていると凍りにくいため、冷え込む夜間に細く水を流し続ける方法もあります。(水道料金は増加します)
  • 凍結防止ヒーター: 電気で水道管を直接温める装置。寒冷地や長期的に水道を使う場合に有効です。
  • 室内の温度を保つ: 室内配管の凍結を防ぐため、暖房の使用や床下換気口の一時的な閉鎖も検討しましょう。

定期的な通水の重要性

月に1回、3~5分程度、家中の全ての蛇口(屋外も含む)から水を流す「定期的な通水」は、以下のような効果があります。

  • 水道管の劣化防止: サビや汚れを洗い流し、水質悪化を防ぎます。
  • 悪臭・害虫の侵入防止: 排水トラップの封水を維持し、下水からの臭いや虫の逆流を防ぎます。
  • 水漏れの早期発見: 通水時に水漏れがないか確認でき、被害拡大を防ぎます。

通水は、空き家全体の「予防保全」活動の中核です。郵便物整理や換気など、他の管理作業と同時に行うことで効率的な複合的な管理活動の一部として捉えるべきです。


水道不正使用・盗難を防ぐ!賢い管理術

空き家は人の目が届きにくいため、不法侵入者による水道の不正使用や、水道メーターの盗難といったリスクに晒されることがあります。これらの問題を未然に防ぐための対策を講じることが重要です。

不法侵入者による水道使用・盗難のリスクと対策

空き家を狙った水道メーターの盗難被害が全国的に多発しています。警視庁の調査によると、金属盗の認知件数は2020年から2024年の間に約4倍に増加しており、空き家の水道メーターもそのターゲットとなっています。特に、建物がなく更地となっている場所、建設工事中の場所、そして空き室や空き家となっているアパートなどが狙われやすい傾向にあります。水道メーターが盗難されると、メーターの再設置費用が発生するだけでなく、断水などの問題が生じ、復旧までに時間と費用がかかる可能性があります。また、不法侵入者が空き家に入り込み、勝手に水道を使用する「不法放水」のリスクも存在します。これにより、所有者が気づかないうちに高額な水道料金が発生してしまうという問題が起こり得ます。

これらのリスクから空き家を守るためには、以下のような多角的な対策を講じることが重要です。空き家の水道関連の不正使用や盗難は、単に物理的な対策だけでなく、空き家全体を「管理されている物件」として認識させる「犯罪抑止」の視点から多角的にアプローチする必要があります。

  1. 水道メーターの取り外し: 長期不在や解体予定がある場合は、水道メーター自体を取り外すことで盗難リスクを排除し、基本料金も抑えられます。
  2. 防犯対策の強化: 定期的な巡回、ポストの整理、雑草除去などで「手入れされている」印象を与えましょう。防犯カメラや蛇口への鍵設置も有効です。
  3. 管理代行サービスの活用: 遠方に住む方や多忙な方は、専門業者に定期的な管理を依頼するのも有効です。

トイレや蛇口からの悪臭・害虫対策

水回りの管理は、清潔さだけでなく、悪臭や害虫の侵入防止に直結します。特に「排水トラップ」の機能維持が鍵です。

  • 封水切れのリスク: 長期間水を流さないと、排水トラップの水が蒸発し、下水の悪臭が逆流したり、ゴキブリやネズミなどの害虫が侵入したりします。
  • 対策:
    • 定期的な通水: 上述の通り、月に1回以上の通水で封水を補充します。
    • 排水口の応急処置: 頻繁に訪問できない場合は、ラップで密閉したり、市販の封水蒸発防止剤を使うのも手です。
    • 徹底した換気と清掃: 湿気を排出し、カビや害虫の発生を防ぐため、窓を開けて換気し、排水口やキッチン周りを清潔に保ちましょう。

定期的な通水は、排水トラップという「見えない部分」の機能を維持するための最も基本的かつ効果的な「予防的アプローチ」であり、単なる清掃以上の意味を持ちます。これにより、空き家の衛生環境と資産価値を保つ上で不可欠な管理活動となります。

水道料金の無駄を防ぐ「リスクヘッジ」

空き家は使用していなくても基本料金がかかりますし、漏水で高額請求されるリスクも。

  1. 水道契約の停止(閉栓): 長期不在や売却・解体予定があるなら、契約中止が最も効果的。基本料金がかからず、凍結・水漏れリスクも物理的に回避できます。
  2. 止水栓(元栓)を閉める: 契約は継続しつつも、長期不在時はメーターボックス内の元栓を閉めましょう。万一の漏水を最小限に抑え、高額請求を防ぎます。
  3. 漏水検知センサーの設置: 早期に漏水を発見し、被害を抑えるために有効です。センサー部に水が触れると警報音を発したり、スマートフォンに通知を送ったりする機能を持つ製品もあり、早期に漏水を発見し、被害を最小限に抑えることができます。
  4. 定期的なメーター確認: 水道を使っていないのにメーターのパイロットが回っていたら、漏水の兆候です。

空き家の水道料金管理は、単なる「節約」ではなく、予期せぬ高額請求や甚大な被害を回避するための「リスクヘッジ」戦略として捉えるべきです。契約の継続・停止、止水栓の活用、漏水検知センサーの導入など、自身の管理体制と空き家の状況に応じた「費用対効果」の高い選択肢を組み合わせることで、賢く水道料金の無駄とリスクを防ぐことが可能となります。


専門家がサポート!トラブル時の対応と松山市の支援制度

空き家で水道トラブルが発生した場合、迅速かつ適切な対処が被害の拡大を防ぐ鍵となります。また、日頃からの予防策を講じることで、そもそもトラブルの発生リスクを低減できます。

水道管破損時の緊急対処法と修理依頼

  1. 最優先は止水!: 漏水を発見したら、まず水道メーターボックス内の元栓を閉め、水の供給を止めましょう。
  2. 専門業者へ依頼: 信頼できる水道業者(松山市指定給水装置工事事業者など)に速やかに修理を依頼します。
  3. 松山市水道局へ連絡: 松山市では、漏水による水道料金の一部減免制度があります。松山市水道管路管理センター(089-989-8472)またはコールセンター(089-946-4894)へ問い合わせ、制度活用を検討しましょう。

空き家のプロが行う「総合的解決」

空き家問題は多岐にわたるため、専門家との連携が重要です。

  • 行政書士の役割: 私たち行政書士は、水道・電気・ガスの解約手続き、特定空き家に関する行政指導への対応、固定資産税関連の手続きなど、空き家に関する複雑な法務・手続きをワンストップでサポートします。行政との交渉や契約設計に関するアドバイスも可能です。
  • 空き家再生診断士の役割: 物件の状態を調査し、最適な活用プランを提案。定期巡回での通水・換気・清掃といった実務的な管理も行い、空き家を「負動産」から「地域資源」へと転換させるお手伝いをします。

松山市の空き家支援制度を活用しよう!

松山市では、空き家所有者の負担を軽減し、空き家の適切な管理や活用を促進するためのさまざまな支援制度が用意されています。

  • わが家のリフォーム応援事業: 自己居住用住宅のリフォーム費用を補助する制度。水道管修理が直接対象かは個別の確認が必要ですが、大規模なリフォームの一環として申請できる可能性もあります。具体的な相談は松山市住宅課(089-948-6934)へ。申請の進め方やアドバイスは当事務所でもご提供可能です。
  • その他の補助金: 空き家バンク登録支援、危険空き家の解体費用補助、移住者向け改修支援など。
  • 無料相談窓口: 松山市の「協定に基づく空き家相談事業」では、私たちの所属する愛媛県行政書士会も参加し、空き家に関する無料相談を提供しています。 どこに相談すればいいか迷う前に、まず活用してみましょう。
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まとめ:あなたの空き家を「負動産」にしないために

空き家の水道トラブルは、放置すると想像以上に大きな問題を引き起こします。凍結防止、定期的な通水、不正使用対策、そしてトラブル発生時の迅速な対応は、空き家を健全に保つための基本です。

松山市には、こうした空き家管理の負担を軽減し、活用を促すための補助金制度や、行政書士などの専門家による無料相談窓口が充実しています。これらの支援を積極的に活用し、専門家と連携することで、あなたの空き家は「負動産」ではなく、将来の選択肢を広げる「地域資源」へと生まれ変わるはずです。

空き家に関するお悩みは、どんな小さなことでも構いません。松山市の空き家問題に精通した行政書士として、あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。まずは、お気軽に当事務所へご連絡ください。

ご連絡お待ちしております

参考文献

空き家管理に関する一般的な情報

  • 国土交通省 – 空き家対策: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya_01.html (空き家対策の基本的な考え方や、空き家対策特別措置法などについて記載されています。)
  • 不動産情報サイト アットホーム – 【専門家監修】空き家管理を自分でする方法は?費用や業者へ依頼するメリットも紹介: https://www.athome.co.jp/contents/akiyamanagement/ (空き家管理全般に関する網羅的な情報が分かりやすくまとめられています。)

水道トラブル・水道管理に関する情報

  • 東京都水道局 – 水道管の凍結防止: https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/life/e-mizu/sp02.html (水道管の凍結防止に関する基本的な情報や注意点が記載されています。地域は異なりますが、原理は共通です。)
  • 一般社団法人日本水道協会: https://www.jswa.jp/ (水道事業全般に関する情報を提供する公的な団体です。)
  • クラシアン(水回りトラブル業者)- 水道管破裂による水のトラブル事例: https://www.kurashian.co.jp/mizumawari/suido/suidokan-haretsu/case/ (水道管破裂の具体的な事例や修理に関する情報が掲載されています。民間業者ですが、一般的なトラブル事例として参考にしました。)
  • 松山市水道局 – 漏水した場合の減免制度: 松山市水道局へ連絡: 松山市では、漏水による水道料金の一部減免制度があります。詳細は松山市水道局(電話番号:[松山市水道局の代表電話番号])までお問い合わせください。松山市水道管路管理センター(089-989-8472)へ問い合わせ、制度活用を検討しましょう。

松山市の空き家関連情報

行政書士に関する情報

  • 日本行政書士会連合会: https://www.gyosei.or.jp/ (行政書士の業務範囲や役割に関する一般的な情報を提供しています。)
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