空き家 地震保険

空き家の地震保険は本当に不要?知っておくべきリスクについて

松山市で大切な空き家をお持ちの皆さま、こんな疑問はありませんか?

  • 「誰も住んでいない空き家に、わざわざ地震保険なんて必要ないんじゃないか?」
  • 「そもそも空き家だと地震保険には入れないって聞いたけど、本当のところはどうなの?」

南海トラフ巨大地震の発生も懸念される私たち松山市民にとって、地震への備えは非常に重要です。空き家だからこそ知っておくべき地震リスクへの「備えの考え方」と、適切な情報収集のポイントについて、空き家専門の行政書士として詳しく解説します。

【行政書士からのお願い】 本記事では、空き家に関する一般的なリスクと、それらへの備えとしての保険の考え方について解説します。特定の保険商品や具体的な保険プランの推奨、比較は行いません。 ご自身の空き家の状況に合わせた最適な保険選びについては、必ず保険会社や保険代理店など、専門の資格を持つ方にご相談ください。

空き家の地震リスクと「備え」の基本知識

空き家と別荘の違い「地震保険」の基本的な考え方

地震保険は、地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害を補償する保険です。日本の法律上、火災保険とセットでしか加入できません。

空き家だから地震保険は関係ない」と思うのはちょっと待ってください。なぜなら、たとえ人が住んでいなくても、建物が存在する限り地震による倒壊や火災のリスクはゼロではないからです。特に松山市は地震多発地帯に位置しており、そのリスクは無視できません。

では、法律や保険会社が考える「空き家」や「別荘」とは、どういう定義なのでしょうか?

  • 空き家: 一般的に、人が継続的に居住していない建物を指します。
  • 別荘: 所有者やその関係者が、週末や休暇に定期的に利用する建物を指すことが多いです。

この「継続的な居住の有無」や「利用頻度」といった点が、後述する地震保険の加入可否に大きく関わってくることになります。

なぜ空き家所有者が「地震への備え」で悩むのか

空き家における地震への備えについて悩む方が多いのは、主に以下の理由が挙げられます。

  • 誰も住んでいないから損害を受けても困らない」: 損害は所有者の金銭的負担に繋がり、さらに近隣に被害を及ぼす可能性もあります。
  • 空き家だと地震保険には入れない」という情報への疑問: 原則としては入れないケースが多いのですが、全てに当てはまるわけではありません。
  • 費用負担への懸念: 居住用と同じくらいの費用がかかるのではないか、という不安があります。
  • 補償内容の分かりにくさ: どのような場合に「備え」が役立つのか、どの程度の費用負担に繋がり得るのか、分かりにくいと感じる方が少なくありません。
  • 情報収集の難しさ: 空き家に特化した情報が少なく、どこに相談すれば良いか分からない、という声もよく聞かれます。

これらの疑問や不安を解消するために、行政書士として、皆さまが適切な判断を下せるよう情報提供をさせていただきます。

火災保険との違いとセット加入の考え方

地震保険は、火災保険とセットでしか加入できません。これは、地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災などの損害は、通常の火災保険では補償されないためです。

保険の種類補償範囲特徴
火災保険火災、落雷、風災、水災、盗難など地震・噴火・津波による損害は原則として対象外
地震保険地震、噴火、津波による火災、損壊など火災保険とセットでのみ加入可能

空き家だから火災保険だけで十分」と考えている方もいるかもしれませんが、それは非常に危険です。例えば、地震による火災で空き家が全焼した場合、火災保険だけでは補償されません。松山市のように地震リスクの高い地域では、火災保険と地震保険の両方を視野に入れて検討することを強くおすすめします


空き家の地震リスクと「備え」の必要性

住んでいない建物に地震への備えは必要か?その理由とリスク評価

「誰も住んでいない空き家に、本当に地震への備えは必要なのか?」これは当然の疑問です。しかし、松山市に空き家を所有している方にとって、地震への備えは「万が一の事態に備えるための最低限のセーフティネット」と考えるべきです。

主な理由は以下の通りです。

  • 自己負担のリスク: 地震で建物が損壊した場合、修理費用や解体費用は所有者の自己負担となります。大規模な損害の場合、その費用は数百万円から数千万円に及ぶこともあります。
  • 近隣への影響と賠償責任: 空き家が地震で倒壊し、隣接する建物や通行人に被害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負う可能性があります。これへの備えも重要です。
  • 資産価値の毀損: 地震で損壊した空き家は、その資産価値が著しく低下します。将来的に売却や活用を考えている場合、大きな足かせとなります。
  • 再建・復旧の遅延: 事前の備えがあれば、速やかに再建や復旧に着手できますが、自己資金に頼る場合、資金繰りの問題で対応が遅れる可能性があります。

これらのリスクを総合的に評価すると、空き家であっても地震への備えの必要性は高いと言えます。

過去の被害・自然災害から見る空き家の危険性

松山市を含む愛媛県は、南海トラフ巨大地震の想定震源域に近く、過去にも地震による被害を経験しています。また、台風や集中豪雨といった他の自然災害のリスクも抱えています。

  • 南海トラフ巨大地震の脅威: 松山市では、南海トラフ巨大地震が発生した場合、大きな揺れや津波の被害が想定されています。特に、津波浸水域に空き家がある場合は、流失や全壊のリスクが非常に高まります。
  • 老朽化による脆弱性: 多くの空き家は建築から時間が経ち、耐震性が不足している場合があります。現行の耐震基準を満たしていない建物は、地震による倒壊リスクが高まります。
  • 二次災害のリスク: 地震による建物の損壊は、その後の火災や土砂崩れなどの二次災害を引き起こす可能性があります。

これらの過去の教訓や地域のリスクを考慮すると、空き家だからといって地震への備えが不要と考えるのは危険です。

空き家所有者が備えるべき「補償の考え方」と選択肢

空き家所有者が地震への備えとして考えるべきは、主に以下の点です。

  • 建物本体への備え: 地震による建物の損壊、埋没、流失への備え。
  • 家財への備え: 空き家でも、残置物がある場合は家財への備えも検討が必要です。ただし、基本的に家財がない空き家の場合は不要なことが多いです。
  • 費用補償: 損害が発生した際の清掃費用や片付け費用、損壊した建物の残骸を撤去する費用への備え。

これらの「備えの考え方」は、空き家の状態、立地、将来の利用計画などを考慮して、ご自身の状況に合ったものを検討することが重要です。具体的な保険商品や特約については、資格を持つ専門家にご相談ください。


地震保険適用の条件と空き家特有の注意点

「空き家」「空家」「別荘」…保険会社が重視する定義とは

空き家は地震保険に入れない」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。これは、日本の地震保険に関する法律が、「居住の用に供する建物」を対象としているためです。つまり、人が生活している(住んでいる)建物が原則の対象となります。

そのため、一般的な「空き家」と呼ばれる、誰も住んでいない建物は、この「居住の用に供する建物」に該当しないと判断され、原則として地震保険に加入できないケースが多いです。保険会社によっては、「一般物件」(店舗、事務所、倉庫など)として扱われ、地震保険の対象外となります。

しかし、全ての空き家が入れないわけではありません。

以下のような場合は、地震保険に加入できる可能性があります。

  • 「別荘」として利用されている場合: 季節的に利用するなど、所有者やその関係者が定期的に利用し、家財も常備されている場合は、「住宅物件」と見なされ、地震保険に加入できる可能性があります。
  • 近い将来、居住用として利用されることが明確な場合: 具体的なリフォーム計画や入居予定があるなど、近い将来に居住用となることが明確な場合は、保険会社が個別に判断する可能性があります。

重要なのは、ご自身の空き家が保険会社が定義するどのカテゴリに該当するかです。この定義によって、加入できる保険の種類や備えの選択肢が変わってくる可能性があります。

保険加入を検討する際の確認ポイント

空き家の地震への備えを検討する際には、以下の点を特に注意して確認しましょう。

  • 建物の利用実態を正確に告知することの重要性: 建築年、構造、耐震補強の有無、利用頻度など、わかる範囲で正確に伝えることが不可欠です。虚偽の告知は、いざという時に保険金が支払われない原因となります。
  • 保険会社や商品が定める「空き家」の定義の確認: ご自身の空き家が各保険会社が定める「空き家」のカテゴリ、あるいは「別荘」などの別のカテゴリに該当するかを確認します。
  • 「備え」の対象範囲: 建物本体だけでなく、残置物の家財への備えが必要か、必要であればどの程度まで考えるか。
  • 免責事項の把握: どのような場合に、想定している「備え」が機能しないのか、事前に把握しておくことが重要です。

控除や費用面で知っておきたいこと

地震保険は、所得税の地震保険料控除の対象となります。これは、地震保険料の一部が所得から控除され、税負担が軽減される制度です。しかし、空き家の地震保険料も控除の対象となるかは、建物の用途によって異なります。基本的に、生活に通常必要でない「別荘」などの家屋にかかる地震保険料は、控除の対象外となります。

また、費用を抑えるためのポイントとして、一般的な割引制度が挙げられます。

  • 免震・耐震割引: 建物に免震・耐震性能がある場合、費用が割引になる制度があります。耐震診断を検討するのも良いでしょう。
  • 長期契約割引: 契約期間を長くすることで、年間の費用が割安になる場合があります。
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これらの割引が適用されるかどうかは、保険会社や建物の状況によって異なりますので、必ず複数の保険会社に相談し、比較検討することが重要です。


空き家への備えでトラブル・後悔しないための実践対策

発生しやすいトラブルと確認ポイント

空き家に関する備えでトラブルや後悔をしないためには、事前の対策が重要です。

発生しやすいトラブル例

  • 告知義務の不履行: 空き家の利用状況や建物の状態を正確に告知しなかったため、いざという時に補償が受けられなかった。
  • 補償内容の誤解: 想定していた範囲の損害が、実際には対象外だった。
  • 定義の食い違い: 保険会社と空き家の定義について認識のずれがあった。
  • 想定以上の費用負担: 設定していた備えが十分でなく、実際の損害をカバーしきれなかった。

確認ポイント

  • 建物の状況を正確に伝える: 建築年、構造、耐震補強の有無、利用頻度など、わかる範囲で正確に伝えます。
  • 保険会社や商品の「空き家」定義を確認: ご自身の空き家が各社の定義する「空き家」に該当するか、あるいは「別荘」などの別のカテゴリに該当するかを確認します。
  • 「備え」の範囲の確認: 想定される損害に対して、どの範囲まで備えるのか。不明な点は遠慮なく質問し、十分に理解しましょう。
  • 免責事項の確認: どのような場合に、「備え」が機能しないのか、事前に把握しておくことが重要です。

費用を抑えながら安心を得る考え方

費用は抑えたいけど、万が一に備えて安心は欲しい」という方は多いでしょう。以下の方法を検討してみてください。

  • 免震・耐震割引の活用: 建物に免震構造や耐震等級がある場合、費用が割引になる可能性があります。耐震診断を検討するのも良いでしょう。
  • 長期契約割引の活用: 契約期間を長くすることで、年間の費用が割安になる場合があります。
  • 不要な家財への備えのカット: 空き家の場合、家財の価値が低いことが多いため、家財への備えを見送ることで費用を抑えられます。
  • 「備え」の内容の見直し: 必要最低限の範囲に絞り、不要と判断される項目は削ることで費用を抑えることができます。ただし、リスク評価は慎重に行いましょう。
  • 複数の選択肢を比較: 複数の保険会社や共済から情報を集め、最も条件の良いプランを検討しましょう。

「備え」の活用・見直し…ライフプラン別アドバイス

空き家のライフプランによって、「備え」の活用方法や見直し方は異なります。

  • 売却予定の場合:
    • 売却までの期間だけ、必要最低限の備えを検討します。
    • 売却後は速やかに、それまでの備えを見直すことが賢明です。
  • 活用予定(賃貸など)の場合:
    • 賃貸に出す場合は、賃貸用の火災保険・地震保険に切り替える必要があります。居住用とは補償内容や費用が異なる場合があります。
    • 入居者との間で、家財への備えを義務付けるなど、リスク分散を図ることも重要です。
  • 管理を継続する場合:
    • 定期的に建物の点検を行い、リスクを軽減する努力をすることで、費用が割引になる可能性があります。
    • 「備え」に関する契約は定期的に見直し、建物の状態や世情の変化に合わせて調整しましょう。
    • 特に松山市のように自然災害のリスクが高い地域では、常に最新の情報を入手し、備えの内容をアップデートしていくことが肝要です。

空き家における地震への「備え」は不要?必要?ケース別シミュレーション

管理・売却予定・活用予定…目的ごとに違うベストな「備え」の考え方

空き家の地震への「備え」は、所有者の目的によって「不要」にも「必要」にもなり得ます。具体的なケース別にシミュレーションしてみましょう。

  • ケース1:当面は管理のみで、将来的に売却を検討している空き家
    • 考え方: 売却までの期間、最低限の地震リスクに備える必要があります。建物が倒壊すれば売却も難しくなり、解体費用などの費用負担も発生します。
    • 「備え」の方向性: 火災による損害と、地震による最低限の損害への備えを検討。賠償責任への備えも視野に入れます。費用を抑えつつ、万が一の大きな損害に備える方向で考え、短期的な契約を検討し、売却の目処が立ったら見直しできるように準備しておきましょう。
  • ケース2:リフォームして賃貸に出す予定の空き家
    • 考え方: 賃貸物件として収益を得ることを目的としているため、地震による損害は収益に直結します。入居者の安全確保の観点からも、手厚い備えが必要です。
    • 「備え」の方向性: 建物構造や立地を考慮し、適切な範囲で地震への備えを検討します。賃貸用物件に特化した火災保険・地震保険のプランを情報収集し、家賃収入が途絶えた場合の備え(家賃補償特約など)も視野に入れます。
  • ケース3:相続で取得したが、利用予定がなく解体も検討している空き家
    • 考え方: 解体を前提としているため、長期的な備えは不要ですが、解体までの期間に地震が発生するリスクはゼロではありません。特に老朽化した建物は倒壊リスクが高まります。
    • 「備え」の方向性: 短期的な火災と地震への備えを検討します。解体工事が始まるまでの期間に限定し、必要最低限の範囲で検討します。解体中の事故に備えるための「請負業者賠償責任保険」なども、解体業者との契約内容を確認した上で検討しましょう。

無料相談や情報収集の活用で悩みを解決

空き家における地震への「備え」に関する悩みは、専門的な知識が必要となるため、一人で抱え込まずにプロに相談することが解決への近道です。

  • 行政書士へのご相談: 松山市の空き家専門行政書士であれば、空き家に関する法的な手続きや活用方法と合わせて、リスクへの備えの考え方についてアドバイスを受けることができます。地域の特性や空き家事情に詳しいので、より的確な情報提供が期待できます。
  • 複数の保険会社や保険代理店への相談: 実際に保険商品やプランを比較検討する際には、複数の保険会社や保険代理店に相談し、ご自身の空き家の状況を伝えて見積もりと提案を受けましょう。これにより、各社の特徴やプランの違いを比較検討できます。
  • 自治体の情報収集: 松山市や愛媛県が提供している防災情報、ハザードマップ、空き家対策に関する情報なども参考にしましょう。地域の地震リスクを客観的に把握することが重要です。

まとめ:空き家の地震リスクと備えの考え方、そして今後の対策

松山市で空き家を所有されている皆様にとって、地震への「備え」は決して「不要」なものではありません。むしろ、南海トラフ巨大地震のリスクを抱える地域に住むからこそ、万が一の事態に備えるための重要な「考え方」です。

空き家であっても、地震や火災による損害は所有者の大きな負担となります。また、倒壊すれば近隣への被害や賠償責任も発生する可能性があります。

空き家の地震リスクへの「備え」を考える際のポイントは以下の通りです。

  • 火災への備えとセットで考える: 地震による火災は通常の火災への備えでは対応できないため、必ずセットで検討しましょう。
  • 空き家の利用状況と目的を明確にする: ご自身の空き家が、保険会社が定義する「居住用」の建物に該当するか、あるいは「別荘」として扱われるのかによって、備えの選択肢が変わります。
  • 想定される損害と費用を見極める: 建物の状態、利用計画、将来的な目的によって、必要な備えの範囲は異なります。過不足なく、しかし無駄なく考えることが重要です。
  • 複数の選択肢を比較検討する: 一つの情報源に頼らず、複数から情報を集め、それぞれの特徴を理解しましょう。
  • 専門家を上手に活用する: 空き家専門の行政書士は、リスクへの備えの「考え方」や法制度について情報提供が可能です。具体的な保険商品やプランについては、保険会社や保険代理店など、資格を持つ専門家にご相談ください。

空き家における地震への「備え」は、単なるコストではなく、将来の安心への投資です。適切な情報を得て、空き家を安心して管理・運用できる体制を整えることが、松山市で空き家を所有する皆様にとって、これからの大切な対策となるでしょう。

空き家に関するお悩みや、リスクへの具体的な備え方でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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