空き家問題 全国の成功事例に学ぶ解決への道筋とは?

松山市で空き家にお悩みの皆さん、こんにちは! 松山市で空き家問題の解決を専門としている行政書士の村上行政書士事務所です。

近年、全国的に空き家問題は深刻化しており、松山市も例外ではありません。 「誰も住んでいない実家が老朽化で倒壊しそう…」「遠方の空き家をどうにかしたいけど、何から手をつけていいか分からない…」「空き家を放置するとどんなリスクがあるの?」 このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?

しかし、ご安心ください。空き家は「問題」であると同時に、「地域を活性化する資源」としての可能性も秘めています。この記事では、空き家を有効活用し、地域活性化に繋げている全国の先進的な事例をご紹介しながら、松山市での空き家問題解決のヒントを探ります。

空き家は地域活性化の「宝」に!全国の成功事例

空き家は単なる「負動産」ではありません。発想の転換と適切な活用方法を見つけることで、地域に新たな価値を生み出す「地域資源」となり得ます。ここでは、全国の具体的な空き家活用事例を見ていきましょう。

会員制農家民宿で「二地域居住」を推進!【茨城県常陸太田市(旧里美村)】

茨城県常陸太田市(旧里美村)では、「里美ツーリズム探求会」が古民家を改修し、会員制農家民宿「荒蒔邸」として運営しています

  • 概要: 平成14年6月に営業を開始した簡易宿所で、年間会費1万円、宿泊費1泊2千円で利用可能です。食事提供は基本的にありませんが、希望すれば提供されます。その他オプションの活動メニューも豊富に用意されています。
  • 開業資金と維持費: 開業資金は416.7万円で、自己資金216.7万円、行政補助200万円で賄われました。古民家の年間賃料は48万円です。
  • 成功の秘訣: 会員制とすることで利用者を特定でき、周辺住民の理解を得やすいというメリットがあります。安価に「二地域居住」を実施できるため、平成18年4月時点で38組の会員がおり、その20組以上がリピーターです。リピーターが多くなることで地元との交流が促進され、ここを拠点に周辺の観光地へも訪問するようになり、将来的な定住化の可能性も期待されています。
  • 将来課題: 古民家保全と二地域居住の融合を目指し、古民家再生基金(仮称)の創設や、平日利用の促進、複数古民家のネットワーク化などが挙げられています。

「暮らしの仲介」で移住者をサポート!【北海道芦別市】

NPO法人北海道B&B協会は、都市からの移住希望者や二地域居住希望者に対して、空き農家の紹介を行っています。

  • 概要: 道内のB&B(ベッド・アンド・ブレックファースト)の組織化・支援事業と並行して、5年ほど前から空き家の紹介事業を開始しました。B&B利用登録者を中心とした全国からの入居希望者に対して、面接で希望を聞き出し、人脈のある周辺地域のリーダーに相談して空き家を紹介します。これまで約100件紹介し、約15件が居住に至っています。
  • 対象者: 利用者はB&B利用登録者(都市住民など)の空き家利用希望者です。空き家提供者は、周辺地域の居住者や家屋所有者で、道内では毎年約2,000件程度の空き家が発生しています。
  • マッチングの工夫: 協会で利用希望者に対して入念な面接を実施し、地域との摩擦の少ない利用者を厳選しています。提供側についても地域の事情をよくわかったリーダー的な人と事前に相談の上、紹介を実施しています。紹介事業は「空き農家バンク」として、今後インターネット上でも物件情報を提供予定です。
  • 将来課題: 田舎暮らしの希望を持つ都会からの団塊の世代を核に、地域の活性化を図りたいと考えています。単に空き家を仲介するだけでなく、「暮らし」の仲介事業と捉え、移住者が空き家を利用してB&Bを営むなど、都市と地域の交流の核となることを目指しています。

空き蔵が新たな商業施設に!【三重県伊勢市】

三重県伊勢市のNPO法人伊勢河崎まちづくり衆は、旧い問屋街である河崎地区の地域資源である空き蔵を積極的に活用しています

  • 概要: 平成8年に地域資源である土蔵に着目し、「伊勢・河崎蔵バンクの会」を創設しました。地域の空き蔵を調査し、所有者へのアンケートをもとに、喫茶店や美容院開業希望者などへの仲介を実施しています。現在では対象を空き家にも広げ、「空家・空蔵活用仲人事業」として仲介を継続的に実施しています。
  • 活動内容: 仲介事業以外に、伊勢市に旧い商家の買い上げ・改修を働きかけ、平成14年には資料館を中心としたまちづくり拠点「伊勢河崎商人館」の運営を開始しました。また、町屋での暮らし体験が可能な「暮し体験・河崎南町の家」も最近オープンし、インターネットで体験希望者を募集し、有料で3日〜最長1ヶ月程度の使用が可能です。
  • マッチングの工夫: まちづくり衆が提供者と利用者の間に入って仲介を実施しており、所有者との直接の契約者になった事例もあります。
  • 将来課題: 「空家・空蔵活用仲人事業」については、将来的にはコミュニティビジネスとして採算の取れる事業としたいと考えています。商業施設としての利用だけでなく、例えばアトリエ・住宅併設のような形での定住的な利用にも繋げていきたいという目標があります。

現代アートが空き家をミュージアムに変える!【新潟県十日町市、津南町】

新潟県十日町市と津南町では、「大地の芸術祭実行委員会」が現代アートによって妻有地域の潜在力を呼び覚ます「大地の芸術祭」を実施し、その一環として空き家や廃校をミュージアムとして活用する「コミュニティー・ミュージアム・オーナー・プロジェクト」に取り組んでいます。

  • 概要: 平成18年度に第3回を迎え、前回の来場者数は約25万人です。事務局がコーディネーターとなり、空き家情報を取りまとめ、建築家・アーティスト・工務店との折衝、オーナー募集を実施します。オーナーには物件の命名権があり、物件利用に伴う経費はオーナーが負担します。
  • 目的: 将来の地域の力として他所から人を呼び込むこと、民家に凝縮された地域の文化を読み解くことで先人の知恵を発掘すること、地域の工務店のレベルアップにより産業振興を図ることの3点が目的とされています。
  • 活動の流れ: ①空き家探し(行政、地元住民から情報入手)→②建築家・アーティスト視察(構造・耐久性調査)→③契約交渉・集落説明会→④片付け(サポーターらにより実施)→⑤設計・プラン(アーティスト、建築家が検討)→⑥オーナー募集→⑦改修工事(地元工務店が施工)→⑧入居(地域のミュージアム、住空間として活用)という流れで進められます。
  • 現地管理: 雪かきや草刈りなど現地での管理を希望する場合は、管理委託で対応可能です。

不動産会社による空き家媒介事例【東京都新宿区】

ふるさと情報館(株式会社ラーバン)は、全国の農村や観光地の土地・空き家を、都市居住者に対して紹介しています。

  • 概要: 全国から売却希望物件をデータベース化し、会報で会員に情報提供を行っています。購入の際の不動産媒介を実施しており、定年予備軍世代を中心に二地域居住としてのニーズが高く、毎年約350件程度成約しています。
  • 活用の流れ: 会員がふるさと情報館に会員登録し、空き家所有者から物件が登録されます。会報による物件紹介後、ふるさと情報館が物件照会、物件案内、生活アドバイスを行い、最終的に売買契約へと進みます。
  • 利用者と提供者: 利用者は定年予備軍世代が主流で、最初は現在の居住地から3時間程度の場所で二地域居住からスタートし、気に入れば定住を考える人が多い傾向です。空き家提供者は、地域ネットワークを有する工務店や材木店から紹介を受けることが多く、相続時の売却要望が多いです。常時200件以上が登録されています。
  • マッチングの工夫: 地域のコミュニティに円滑に入れるように、それぞれの地域の慣習や考え方等について、紹介時に徹底したレクチャーを行っています。
  • 課題: 団塊世代の二地域居住ニーズが見込まれるため、今後さらに紹介物件を増やしていくことが課題です。農地関連や建築関連法規により、新たに建物を建てられない等の規制が存在するため、緩和されればさらなる住み替えが促進される可能性があります。

町並み全体の修復・保全を事業化【富山県富山市岩瀬地区】

富山県富山市岩瀬地区では、岩瀬まちづくり株式会社が地区の土地・建物を取得し、自ら修復、もしくは販売することで地域の活性化と街並み保全を図っています。

  • 概要: 北前船交易で栄えた岩瀬地区で、平成16年5月に地場企業である富山地所(株)が旧森家土蔵の改修復元に着手しました。平成16年8月には子会社として「岩瀬まちづくり株式会社」を立ち上げ、同地区の街並みの修復・保全に本格的に取り組んでいます。地区内の土地61筆、建物12棟を取得しています。
  • 活動内容: 富山市が平成17年7月に開始した「富山市岩瀬大町・新川町通り修景等整備事業」も活用し、購入した歴史的建造物の改修復元にあたる一方、借地権者が住宅を所有する物件については底地の購入を働きかけています。修復物件の多くにテナントが入居し、地域への観光客誘致に貢献しています。
  • 利用者: 購入した建物は直接、あるいは関連会社等に販売した上で改修・修景を実施し、その多くで物販施設等を運営しています。最近、富山市街からの路面電車のLRT化が図られ、地域への観光客増加も期待されています。
  • マッチングの工夫: もともと地区内には借地が多く、地域とつながりの深い同社が一旦購入することで、権利関係の調整を行っています。市の修景等整備事業により、修景整備や空き家利用に対して一定の補助が出ることも活用しています。
  • 将来課題: 民間企業ですが、「住んでいる町をきれいにすること」を目的に取り組んでいます。市民参加によるナショナルトラスト的な活動も考えられますが、現状では手が回っていません。町の活性化の観点から、宿泊可能な施設も計画中です。

空き家活用に関する調査研究事例【山梨県早川町】

山梨県早川町のNPO法人日本上流文化圏研究所は、問い合わせの多い空き家利用希望者への対応と集落維持管理の担い手の必要性から、空き家の貸し出しを将来的に行うための準備として、空き家の実態・管理を調査しています。

  • 調査目的: 空き家の有効活用に向けた中山間地域特有の課題抽出です。
  • 調査内容: ①空き家の抽出とアンケート調査、②空き家利用者(移住者)へのヒアリング(2005年9月)、③集落への意向調査(2005年12月)、④利用可能な空き家所有者へのヒアリング(2006年2月)を実施しました。
  • 調査結果: 早川町内の空き家は1,124戸中442戸(約40%)でした 。所有者(家主)アンケートによると、維持管理を自ら行っているものは7割、他人に依頼している者は2割、残りの1割はほとんど行っていないことが判明しました。37集落中、受入れ済5件、受入れ可7件、拒否3件、残りは態度保留でした。いずれの集落も、水道掃除、草刈りなどの村仕事、葬式の手伝い、区費や水道費などの負担、事前相談が受入れの条件でした 。家主の意向として、貸出、売却、寄付をしてもよいとの回答は313件中12件で、その大半が大規模改修が必要と思われる家屋でした。
  • 主な問題点・課題: 所有者の意識ギャップ(「たまには使いたい」「先祖代々の家屋敷は手放せない」「移住してきた人の人柄に対しても責任?」「周りの人がいろいろ言うのでは」)、契約の手続きや流れの問題点(契約書を交わさない、家屋と土地の所有者が違うなど権利関係が複雑)、改修の資金に関する問題点(賃貸で、所有権は自分のものにならないのに大金を使って改修する必要がある)が明らかになりました。
  • 解決に向けて: 集落を維持していくという長期的視野に立ったメリットの啓発により、所有者の意識を変えていくことを提案しています。個人対個人ではなく、集落対移住者の受入れ体制、皆で担保する仕組みを構築し、その中核的役割をNPOが担うことが重要視されています。また、契約等手続きのマニュアル化(契約書、申請・登録書等様式の整備も含む)や公的融資の整備も必要とされています。

松山市の空き家を「負動産」から「地域資源」へ

これらの成功事例から見えてくるのは、空き家活用には多様な選択肢があるということです。 「売却」「賃貸」といった一般的な選択肢だけでなく、

  • 農家民宿や体験施設としての活用
  • 移住希望者への「暮らし」の仲介
  • 商業施設やアトリエへの転用
  • アートを通じた地域再生
  • 町並み保存・活性化への貢献

など、様々な可能性があります。

松山市でも、地域ごとの特性やニーズに合わせた空き家活用を検討することで、新たなコミュニティの創出や地域経済の活性化に繋げることができるはずです。

空き家活用・管理で行政書士ができること

「空き家をどうにかしたいけれど、何から手を付ければいいか分からない…」 そうお考えの方こそ、ぜひ一度、村上行政書士事務所にご相談ください。

当事務所では、松山市の空き家問題に特化した以下のサポートを提供しています。

  • 空き家活用のコンサルティング: お客様の状況やご希望、空き家の特性に合わせて、最適な活用方法をご提案します。
  • 相続手続きのサポート: 空き家の所有権が複雑な場合でも、相続手続きを円滑に進め、権利関係を明確化します。
  • 各種契約書の作成: 売買契約書、賃貸借契約書、管理委託契約書など、空き家に関する様々な契約書作成をサポートします。
  • 補助金・助成金申請のサポート: 空き家の改修や活用に関する国の補助金や自治体の助成金制度について情報提供し、申請手続きをサポートします。
  • 地域連携のサポート: 不動産業者や建築業者、地域のNPO法人など、空き家活用に必要なネットワークをご紹介し、連携をサポートします。

空き家問題は、放っておくと時間とともに解決が難しくなります。 「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、早めにご相談いただくことが、より良い解決への第一歩です。

松山市の空き家でお困りの方は、ぜひ村上行政書士事務所までお気軽にご連絡ください。空き家を「負動産」ではなく「地域資源」として、未来に繋ぐお手伝いをさせていただきます。

ご連絡お待ちしております
参考文献


国土交通省 空き家の活用事例

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