
【空き家管理者必見!耐震診断で重要なチェックポイント10選】
松山市にお住まいの空き家所有者様、またその管理をされている皆様、松山市で空き家専門の行政書士として活動しております村上行政書士事務所と申します。
日本は地震大国であり、大規模な地震が発生するたびに、家屋の倒壊による甚大な被害が報じられます。もしもの時に、大切なご家族や資産を守るため、ご自宅、特に空き家の耐震性を確認しておくことは非常に重要です。
「自分の空き家は大丈夫だろうか?」「何から手をつければいいのかわからない」そんな不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、空き家管理者の皆様が知っておくべき「耐震診断」の基本から、ご自身でできる簡易診断の具体的なポイント、そしてその後の活用法まで、分かりやすく解説します。大切な資産を守り、未来へ繋ぐために、空き家の耐震診断を考えてみませんか?
空き家の耐震診断とは?基本を理解しよう
耐震診断の重要性と目的
耐震診断とは、建物の構造や老朽化の状況を専門家が調査し、地震に対する安全性を評価するものです。その主な目的は、建物が地震にどの程度耐えられるかを数値やランクで明確にし、必要に応じて適切な耐震補強工事を計画・実施することにあります。これにより、地震による倒壊や損傷を防ぎ、大切な人命や財産を守ることにつながります。
日本は地震活動が活発な国であり、建築基準法は度々改正され、耐震基準も強化されてきました。これにより、現在の基準と旧基準で建てられた建物とでは、耐震性能に大きな差が生じています。
空き家が耐震診断を受けるべき理由
多くの住宅、特に旧耐震基準(1981年5月以前の建築基準)で建てられた建物は、現在の基準を満たしておらず、大地震で倒壊するリスクが高いと言われています。空き家の中にも、こうした耐震性の不足を抱える物件が数多く存在します。
空き家は所有者が日常的に居住していないため、老朽化の進行が見過ごされがちです。万が一、地震で空き家が倒壊・損壊した場合、周辺住民への被害や、避難経路の閉鎖など、地域全体に甚大な影響を及ぼす可能性があります。行政からの指導や「特定空家等」への指定を避けるためにも、耐震診断による現状把握は強く推奨されます。
耐震診断で判定される耐震性
耐震診断では、建物の「耐震性能(または耐震評点)」が数値化され、地震に対する安全性が評価されます。一般的には、現行の耐震基準を満たしているか、あるいはどの程度の地震に耐えられるかなどが示されます。この評価結果に基づき、耐震補強の要否や、具体的な補強方法が検討されます。
耐震診断の実施方法と流れ
耐震診断の流れを具体的に解説
耐震診断には、ご自身でできる簡易的なものから、専門家による詳細なものまで段階があります。
- 簡易診断(セルフチェック): まずは、ご自身でできる「誰でもできるわが家の耐震診断」を活用し、空き家の状態を大まかに把握します。これにより、専門家による診断が必要かどうかの判断材料が得られます。
- 専門家による診断の検討: 簡易診断で不安な点が見つかった場合や、より正確な評価を求める場合は、専門家(建築士など)に依頼する「一般診断」や「精密診断」を検討します。
- 診断依頼と現地調査: 診断を依頼する専門家を決定後、日程調整を行い、現地での詳細な調査が行われます。建物の外部、内部、基礎、屋根裏など、多岐にわたる箇所が専門家の目でチェックされます。
- 診断結果の報告: 調査後、診断結果が報告書としてまとめられます。耐震性能の評価、具体的な補強が必要な箇所、補強方法の提案などが含まれ、所有者に説明されます。
必要な書類と申請手続き
専門家による耐震診断を依頼する際には、以下の書類が求められる場合があります。
建物の設計図書(配置図、平面図、立面図、構造図など)
建築確認済証、検査済証
増改築の履歴が分かる書類
これらの書類が手元にない場合でも診断は可能ですが、より正確な診断のためには情報が多い方が望ましいです。松山市の補助金制度を利用する場合は、別途申請書類や手続きが必要になりますので、村上行政書士事務所まで、お問合せください。
診断を依頼する事業者の選び方
耐震診断を依頼する際は、以下の点に注目して選びましょう。
- 実績と専門性: 耐震診断の実績が豊富で、空き家に関する知識も持ち合わせている専門家(建築士事務所、耐震診断士など)を選びましょう。
- 説明の丁寧さ: 診断内容や結果について、専門用語を避け、分かりやすく説明してくれる事業者を選びましょう。
- 見積もりの明確さ: 診断費用や追加費用について、明確な見積もりを提示してくれるか確認しましょう。
- 地域密着型: 松山市の地域の特性や補助金制度に詳しい事業者であれば、よりスムーズな連携が期待できます。
耐震診断でチェックすべき10の重要ポイント
ここでは、国土交通省と日本建築防災協会が監修する「誰でもできるわが家の耐震診断」の主要な項目を、空き家管理者の皆様がご自身でチェックする際のポイントとして詳しく解説します。空き家の場合、特に木造の建物が多いと想定されており、これらの項目はそうした木造住宅の耐震性を確認する上で有効な第一歩となります。
建物の構造と旧耐震基準について
- 1. 建てたのはいつ頃ですか? 1981年6月に耐震基準が大幅に改正されました。それ以前の建物は、耐震性が低いと考えられます。
耐震化に必要な工事の種類(劣化・増改築の確認)
- 2. いままでに大きな災害に見舞われたことがありますか? これまでに大きな災害に見舞われた建物は、多少の修繕がされていても、内部に目に見えない劣化が進んでいることがあります。
- 3. 増築について 新築後、15年以上経つと、家族構成が変化することによって、増築等を行う例があります。この増築で、増築前の部分と増築後の部分の接合が充分でない可能性もあります。
- 4. 傷み具合は補修・改修について 長年住んでいると、建物の劣化に気がつかないことが多いものです。いちど、外壁・基礎・軒先周りなどをじっくりと点検してみてください。外壁のひび割れ、基礎のひび割れ等があれば専門家に調査を依頼するのが大切です。
木造住宅の耐震性を評価する方法(形状・壁の配置・基礎)
- 5. 建物の平面はどのような形ですか? 長方形に近い整形された建物は、欠点が少なく地震に強いことが知られています。反対に不整形な建物は、地震に弱い建物とされています。
- 6. 大きな吹き抜けがありますか? 外見は整っていても、中に1辺が4メートルを超える吹き抜けがある場合は、大きな地震で歪む可能性があります。
- 7. 1階と2階の壁の壁面が一致しますか? 1回と壁面と2階の壁面が一致していれば、2階に応じた力も1階にスムーズに流されます。反対に、2階の壁の下に、1階の壁が一致していない場合は、大きな地震時には、2階の床から外れる可能性があります。
- 8. 壁の配置はバランスがとれていますか? 壁の配置が偏っていると、壁の量が多いところは揺れが少なく、壁の量が少ないところは揺れが大きく、そこから建物そのものが、先に壊れてしまいます。特に地方の木造住宅で南面に日当たりのために大きな窓をとっている建物は要注意です。
- 9. 屋根葺き材と壁の多さ: 瓦など重い屋根材を使用している場合、地震の揺れが大きくなるため、その重さに耐えられる十分な量の壁が建物全体に必要です。軽量な屋根材への変更も耐震化の一環として有効です。
- 10. どのような基礎ですか? 基礎は建物を支える最も重要な部分です。1957年以前に建てられた建物では、鉄筋コンクリートの基礎を使用していない場合もあり、耐震性が低い可能性があります。基礎にひび割れや損傷がないかも確認が必要です。
耐震補強のための主要な補助制度
松山市では、耐震診断や耐震改修工事に対する補助金制度が設けられています。これらの制度を積極的に活用することで、所有者の費用負担を軽減し、耐震化を促進することができます。詳細は松山市の建築指導課で確認するか、当事務所までお気軽にご相談ください。
※補助金制度は変更されることが多いので、常に最新の情報をチェックしてください。
費用と補助金の活用方法
一般診断の場合、木造住宅で15万円から40万円程度が目安とされています。この費用に対し、多くの自治体で補助金制度が設けられています。松山市でも、耐震診断や耐震改修費用に対する助成金・補助金制度がありますので、ぜひ活用をご検討ください。補助金を活用することで、費用を抑えながら耐震診断を実施し、空き家の安全性を高めることが可能です。
耐震診断とその結果の活用
診断結果を元にした耐震改修計画
耐震診断の結果、空き家の耐震性が不足していると判断された場合は、具体的な耐震改修計画を策定します。改修工事は、建物の構造や診断結果に応じて、壁の補強、基礎の補強、接合部の金物補強など多岐にわたります。予算や空き家の将来的な活用計画に合わせて、無理のない範囲で、計画的に改修を進めることが重要です。
耐震診断から得られる固定資産税対策
耐震改修工事を行った住宅は、固定資産税の減額措置を受けられる場合があります。これは、税法上の特例であり、耐震改修を行うことの大きなメリットの一つです。改修を検討する際には、こうした税制上の優遇措置についても、事前に税理士などの専門家と確認しておくことをお勧めします。
相続時の空き家管理での留意点
空き家を相続する際、耐震性が低いと売却や活用が難しくなったり、将来的な大規模修繕費用がかさんだりするリスクがあります。事前に耐震診断を受けておくことで、相続人全員が空き家の現状を正確に把握し、今後の活用や処分について適切な判断を下すための重要な情報となります。また、相続後の管理不全を防ぐためにも、早期の対策が望まれます。
空き家を持つ所有者様へのアドバイス
空き家問題は複雑ですが、耐震診断をきっかけに様々な活用の道が見えてくることがあります。
地震対策としてのデュアル活用法
耐震性を高めた空き家は、単なる居住用だけでなく、緊急時の避難場所や地域コミュニティの防災拠点としての活用も視野に入れることができます。通常は賃貸物件、シェアオフィス、地域住民の交流スペースなどとして活用し、有事の際には地域に貢献できる「デュアル活用」の可能性を探ることもできます。
補助事業を利用した安価な耐震化
松山市をはじめとする自治体では、耐震診断や改修費用に対する補助金制度が充実しています。これらの補助事業を積極的に利用することで、自己負担を抑えながら安全な空き家へと転換することが可能です。補助金の申請手続きは煩雑な場合もありますので、当事務所でもサポートを行っております。
将来的なリノベーションを考慮した耐震対策
空き家を将来的に売却したり、賃貸物件として活用したり、あるいはご自身が居住したりする計画がある場合、耐震改修をリノベーションと一体的に考えることをお勧めします。耐震化を前提としたリノベーションは、物件の安全性を確保しつつ、空き家の価値を大きく高め、より魅力的で有効な空間へと生まれ変わらせることを可能にします。


まとめ:空き家管理の新たなカギ
耐震診断の未来と空き家の活用方法
空き家問題が深刻化する中で、耐震診断は単に建物の安全性を測るだけでなく、空き家が持つ潜在的な価値を引き出し、未来へと繋ぐための重要なカギとなります。耐震性を確保することで、安心して賃貸に出したり、リノベーションによって新たな魅力を付加したり、地域活性化に貢献する拠点として活用したりする道が開けます。安全性を確保した空き家は、負の資産ではなく、地域の財産、そしてあなたの貴重な資産として生まれ変わるでしょう。
次のステップ:診断を受けるための相談窓口
空き家の耐震診断についてご不明な点や、具体的な手続きでお困りのことがございましたら、松山市の空き家専門行政書士である当事務所までお気軽にご相談ください。私たちは、皆様の大切な空き家を「負」動産にしないため、最適な解決策をご提案させていただきます。