【松山市】空き家の境界確定を急ぐべき理由と手順

空き家を所有されている皆さん、こんにちは。松山市で空き家に関する様々なお悩みをサポートしている行政書士の村上です。

近年、松山市でも空き家が増加傾向にあり、それに伴い「隣地境界線」に関するご相談も増えています。もしかしたら、同じような不安を抱えているかもしれません。

  • 隣地との境界が曖昧で、このままで大丈夫なのか不安を感じている
  • 空き家を売却したいのに、境界問題が原因で話が進まないのではないかと心配
  • 空き家を相続したが、隣地との関係が分からず、トラブルに巻き込まれたらどうしようかと困っている
  • すでに隣地所有者との間で境界トラブルが発生しており、どうすれば良いか分からない
  • 空き家を有効活用したいのに、境界問題が解決しないと前に進めないと感じている

空き家を放置すると、単なる管理不足に留まらず、こうした境界線トラブルが深刻化し、法的な紛争に発展するリスクも潜んでいます。

私自身も住宅営業マン時代には、トラブル防止のため、土地に境界杭があるか確認しておりました。実際に、建築中に隣人からクレームを受けたこともあります。空き家でなくてもこういったトラブルがありますので、空き家になるとより一層、トラブルの可能性は高くなっていきます。


空き家の隣地境界線が問題になりやすい理由

なぜ、空き家だと特に隣地境界線でトラブルが起きやすいのでしょうか?その主な理由を見ていきましょう。

  • 所有者の不在による管理不足: 空き家は所有者が頻繁に足を運ばないため、樹木や雑草が隣地に越境してしまったり、境界標(境界杭など)が埋没・紛失しても気づかなかったりすることがあります。
  • 境界標の不明確化・喪失: 長年の風雨や地震、あるいは誤って撤去されてしまうなど、元々あった境界杭がなくなってしまうと、正確な境界が分からなくなり、トラブルの元となります。
  • 境界の未確定: 特に古い空き家の場合、そもそも法的に境界が確定されていないケースも少なくありません。登記簿上の面積と実際の面積が異なる「公簿取引」で売買されていた時代もあり、売却時などに実測との誤差が問題になることも。
  • 隣地所有者の認識の違い: 隣地所有者との間で境界に対する認識が食い違うことはよくあります。所有者が代替わりしている場合は、さらに認識のずれが大きくなる傾向があります。
  • 所有者不明・連絡困難: 空き家の所有者が不明だったり、連絡が取れなかったりすると、問題解決が非常に困難になります。隣地所有者との話し合いが不可欠な境界問題において、これは大きな障害となります。
  • 時効取得のリスク: もし隣地が空き家の敷地の一部を長期間占有している場合、悪意がなくても「時効取得」が成立し、その部分の所有権が隣地に移ってしまう可能性があります。
  • 民法改正と越境木の伐採: 2023年4月1日に民法が改正され、越境した木の枝や根について、一定の条件下で隣地所有者が自ら伐採し、費用を請求できるようになりました。これは解決策の一助となる一方で、放置すれば隣人との費用トラブルに発展する可能性も示唆しています。

実際に起こりうる境界トラブルの具体例

空き家の境界が不明確なままだと、具体的にどのようなトラブルに発展する可能性があるのでしょうか?

  • 自分の敷地内かと思っていた塀や物置が、実は隣地に越境していた 相続した空き家に古い塀があったり、以前の所有者が設置した物置があったりする場合、「まさか」と思うかもしれませんが、それが隣地にはみ出しているケースがよくあります。後から判明すると、撤去や賠償を求められることがあります。
  • 隣の家の庭木や雑草が自分の空き家敷地まで伸びてきている 空き家の管理が行き届かないと、隣地から伸びてきた木や雑草が敷地内に侵入し、日当たりを遮ったり、落ち葉で排水溝を詰まらせたりと、隣人との間で苦情の原因になります。民法改正により、隣人が勝手に伐採できるようになり、その費用を請求される可能性も出てきました。
  • 隣人が空き家の一部を駐車場や通路として勝手に使っている 境界が曖昧なのを良いことに、隣人が空き家の一部を無断で利用しているケースです。長期間にわたると「時効取得」が成立し、その土地の所有権を失うリスクもあります。
  • 売却しようとしたら、買主から境界が不明確だと言われ、話が頓挫した 不動産を売却する際、買主は将来のトラブルを避けるため、境界が明確であることを強く求めます。境界が不明確だと、買主が見つからなかったり、大幅な値引きを要求されたりして、売却活動がスムーズに進まない大きな原因となります。
  • 大規模な工事を行う際に、境界線で隣人と揉めた 将来的に空き家を解体して建て替えたり、大規模な修繕をしたりする際に、隣地との境界が不明確だと、工事の範囲や足場の設置などで隣人とトラブルになり、工事がストップしてしまうこともあります。

これらのトラブルは、いざ発生すると解決に時間と費用がかかり、精神的な負担も大きくなります。


土地の境界線と境界杭の基礎知識

まず、土地の境界線とは、一つの土地を周囲の土地と区別する境目の線のことです。そして、境界杭は、その境界線を示すために土地の角などに埋め込まれた目印です。境界杭の上部には点や十字などの記号があり、それが境界線のどの部分を示すかが分かります。

境界杭が示す境界線には主に以下の種類があります。

  • 隣地境界線: 隣接する他人の土地との境界線です。塀や生け垣で仕切られていることもありますが、正確な境界は境界杭や登記簿で確認します。
  • 道路境界線: 土地と公道との境界を示す線です。この境界上の境界杭には、自治体の名前やマークが記されていることもあります。
  • 敷地境界線: 不動産の敷地全体の境界を示す線で、隣地境界線と道路境界線の両方を含みます。

空き家では長い期間、人が住んでいないために、境界杭が雨風で埋もれたり、紛失したりしていることがよくあります。


空き家に境界杭がない場合:設置すべきケースと費用

もし空き家に境界杭が見当たらない場合、新たに設置すべきなのでしょうか?

境界杭の設置が「必須ではない」ケース

  • 空き家をそのまま所有し続ける場合: ご自身で空き家を維持管理し、将来住む予定があるなど、売却や活用を現時点で考えていない場合は、法的に境界杭の設置は義務ではありません。 ただし、後々のトラブル防止や、将来的な売却・活用を視野に入れるなら、設置しておく方が安心です。

境界杭の設置が「必要・推奨される」ケース

  • 空き家を売却する場合: 空き家を売却する際は、境界杭の設置、ひいては境界確定測量がほぼ必須です。現在の不動産取引は、実際に土地を測量し、確定した境界線に基づいて売買を行う「実測取引」が一般的。買主は境界が明確な物件を求めるため、確定測量済みだと売却がスムーズに進み、信頼性が高まります。
  • 空き家の境界部分にブロックや塀などを設置したい場合: 隣地との境目にブロック塀などを設置する際も、境界杭による正確な境界確認は不可欠です。境界が不明瞭なまま設置すると、後日越境が判明し、撤去・再設置で余計な費用と隣人トラブルが発生するリスクがあります。
  • 隣地との間で境界に関するトラブルが発生している、または発生しそうな場合: 現状でトラブルがある、あるいは今後発生する可能性が高いと感じるなら、専門家による境界確定は問題解決の第一歩となります。

境界確定測量の費用相場

境界確定測量の費用は、土地の状況や依頼する土地家屋調査士事務所によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

  • 一般的な住宅用地(官民査定なし):35万円~50万円程度
  • 官民査定が必要な場合(道路や水路など国・自治体所有地に接している場合):60万円~80万円程度

土地の面積、形状、隣接地の数、既存の境界標の状態、隣接する土地が官有地かどうかなどが費用に大きく影響します。正確な費用を知るには、土地家屋調査士事務所に相談し、必ず見積もりを取ることが重要です。当事務所では信頼できる土地家屋調査士を紹介できます。


境界問題解決のための具体的な手順と行政書士の役割

空き家の隣地境界線問題を解決するためには、専門的な知識と段階的なアプローチが必要です。

現状の把握と資料の確認

まずは、現状の土地に関する資料を集め、把握することが重要です。

  • 現地確認: 可能であれば現地を訪れ、境界標の有無や周辺状況を確認します。
  • 登記簿謄本、公図、地積測量図の確認: 法務局でこれらの資料を取得し、境界に関する情報を確認します。
  • 固定資産税課税明細書の確認: 地番や地目を把握します。
  • 過去の測量図などの有無: 以前の測量資料があれば確認します。

行政書士のサポート: これらの資料収集や読み解きは、専門知識がないと難しい場合があります。行政書士は、資料収集を代行し、お客様に分かりやすく現状を解説します。

境界の専門家への相談と確定測量の実施

境界線の具体的な測量や、境界標の設置が必要な場合は、土地家屋調査士の専門領域になります。特に境界が不明確だったり、認識のずれがある場合は、「境界確定測量」の実施を強くお勧めします。

境界確定測量とは?

土地家屋調査士が、法務局の資料、現地の状況、そして隣接地の所有者全員の立ち会いと合意のもと、公的に土地の境界を確定させる測量です。正確な位置に境界標が設置され、その結果は「筆界確定図」として法務局に保管されます。

境界確定測量の重要性: この測量で確定された境界は法的な根拠を持つため、将来にわたる隣地との境界トラブルを根本的に解決します。特に空き家を売却する際には、買主が最も重視する情報であり、境界確定済みの土地は、売却活動がスムーズに進み、信頼性が高まる大きなメリットがあります。

境界確定の一般的な手順

  1. 資料調査・現地調査: 法務局資料と現地を照合し、事前調査を行います。
  2. 仮測量: 現地で仮の測量を行い、おおよその境界位置を把握します。
  3. 隣接地の所有者への連絡・立ち会い: 確定測量には、隣接地の所有者全員の立ち会いと合意が不可欠です。立ち会い日時の調整を行い、境界の説明を行います。ここが一番時間がかかります。
  4. 境界の確認・確定: 立ち会いのもと、測量結果に基づき境界を確認し、隣接地の所有者からの合意を得て境界を確定します。
  5. 境界標の設置: 確定した境界点に、永続性のある境界杭(境界標)を設置します。
  6. 筆界確定図の作成・保管: 測量結果と隣接地の所有者の合意をまとめた「筆界確定図」を作成し、法務局に保管します。

行政書士のサポート: 土地家屋調査士の紹介はもちろん、確定測量に関する事前準備、隣地所有者への説明文書作成、立ち会い日時の調整など、円滑な測量実施に向けた多岐にわたるサポートを行います。特に、所有者が不明な隣地がある場合など、複雑なケースでは行政書士が適切な窓口への問い合わせや情報収集を支援します。

隣地所有者との話し合いと合意形成

最も重要なステップです。境界問題を解決するには、隣地所有者との話し合いと合意が不可欠です。

  • 穏やかな話し合い: 感情的にならず、客観的な事実に基づいて話し合いを進めます。確定測量の結果は、客観的な事実に基づいているため、話し合いをスムーズに進める強力な根拠となります。
  • 境界確認書の作成: 合意内容を明記した「境界確認書」を作成し、双方で署名・捺印します。確定測量を行った場合は、測量図を添付し、より明確なものとします。

行政書士のサポート:

  • 第三者としての冷静な話し合いのサポート: 感情的な対立を避け、円滑なコミュニケーションを促します。
  • 境界確認書等の法的書面作成: 合意内容に基づき、法的に有効な境界確認書を作成し、将来のトラブルを防ぎます。
  • 内容証明郵便の作成支援: 話し合いが進まない場合や、隣地からの不法占有が疑われる場合など、法的な手段を検討する際の書類作成を支援します。

調停・訴訟の検討(最終手段)

話し合いや確定測量でも解決に至らない場合は、裁判所の調停や訴訟も視野に入れる必要があります。

  • 境界確定訴訟: 裁判所に境界の確定を求める訴訟を起こすことも可能です。確定測量を行った結果は、訴訟において有力な証拠となります。

行政書士のサポート:弁護士との連携や、調停・訴訟に必要な資料の整理、経緯の文書化など、法的手続きの初期段階におけるサポートを行います。


境界確定が空き家の価値を高める理由とメリット

境界確定測量には費用がかかりますが、それは空き家を健全に活用し、無用なトラブルを避けるための「投資」と考えるべきです。境界確定によって空き家の価値は確実に高まります。

  • 売却時のスムーズな取引と価値向上: 境界が確定測量により明確になっていることで、買主は安心して購入でき、売却期間の短縮や高値での売却に繋がりやすくなります不動産会社も、境界確定済みの物件はトラブルリスクが低く、積極的に仲介できるため、好んで扱います。
  • 適正な価格評価が可能に: 境界が曖昧な土地は、正確な面積が不明なため、適正な価格評価が困難です。確定測量で正確な面積が確定すれば、それに基づいて適正な価格評価が可能となり、場合によっては予想よりも土地が広かったために売却価格がアップするケースもあります。
  • 賃貸・活用の安心感: 賃貸に出す、駐車場として活用するなど、空き家を有効活用する際も、隣地とのトラブルを気にせず事業を進められます。
  • 将来の相続時の負担軽減: 境界問題が未解決の空き家は、相続人に大きな負担をかける可能性があります。生前に解決しておくことで、円滑な相続に繋がります。
  • 近隣関係の良好な維持: 曖昧な境界は、隣人との関係悪化に繋がりかねません。明確な境界は、良好な近隣関係を築く上でも重要です。
  • 法的なトラブルの回避: 最悪の場合、訴訟に発展するリスクを未然に防ぐことができます。

松山市の空き家専門行政書士として、あなたをサポートします

空き家の隣地境界線に関する問題は、多岐にわたり、専門的な知識と経験が求められます。

松山市で空き家に関するお悩みを専門に扱っている行政書士として、私はお客様一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

「どこから手をつけていいか分からない」「隣地との関係で悩んでいる」といった方も、どうぞお気軽にご相談ください。丁寧なヒアリングと、的確なアドバイスで、あなたの空き家問題を解決へと導きます。

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