
空き地を活用したまちづくりのヒント!地域を活性化する方法
空き地活用によるまちづくりが注目される理由とは?
増加する空き地と地域が抱える課題

日本全国で少子高齢化や人口減少が進む中、空き家や空き地の増加が顕著になっています。
特に、世帯が所有する空き地は10年間で2倍以上に増加しているというデータもあります。
かつては住宅や事業用地として利用されていた土地が、所有者の高齢化や相続問題により、そのまま放置されてしまうケースが少なくありません。
放置された空き地は、雑草の繁茂、不法投棄、害虫の発生、治安の悪化など、地域社会にさまざまな悪影響を及ぼします 。しかし、この空き地を「負の遺産」として捉えるのではなく、「地域を再生させるための貴重な資源」と捉え、有効活用する動きが注目されています。
空き地を有効活用する目的・メリットを解説
空き地活用の目的は多岐にわたりますが、主に以下のようなメリットが挙げられます。
- 収益の確保: 駐車場、賃貸住宅、商業施設などを建設することで、安定した収入源を確保できます。
- 資産価値の向上: 何も利用されていない土地よりも、有効活用された土地の方が資産価値が高まる傾向にあります。
- 節税効果: 土地を収益化することで、固定資産税などの税負担を軽減できる場合があります。
- 地域貢献: 公園や広場、貸し農園など、住民が利用できるスペースとして活用することで、地域コミュニティの活性化に貢献できます。
空き地活用がもたらす地域活性化の可能性
空き地活用は、単なる収益化に留まらず、地域の活性化に大きく貢献することもできます。
- 新たな交流拠点の創出: 活用方法によっては、地域住民が集まる広場やイベントスペースとなり、交流の場を生み出せます。
- 雇用の創出: 新たな店舗や施設が建設されれば、地域内に雇用が生まれ、経済活動が活発になります。
- 移住・定住の促進: 魅力的な施設や住居が整備されることで、新しい住民を呼び込み、地域の活力を高めることができます。
空き地活用の主な方法とアイデア一覧

空き地の活用方法は、立地や広さ、所有者の目的によって様々です。ここでは、国土交通省の資料にも記載されている事例を参考に、代表的な活用方法とアイデアをご紹介します。
駐車場や月極駐車場として利用するケース
手軽に始められる活用方法として人気なのが、駐車場としての利用です。初期費用を抑えやすく、管理の手間も比較的少ないのがメリットです。都市部ではコインパーキング、郊外では月極駐車場が収益性が高いとされています。
アパート・マンション経営による土地活用
安定した家賃収入を長期にわたって得たい場合におすすめなのが、アパートやマンション経営です。初期費用は大きくなりますが、需要が見込めるエリアであれば高い収益性が期待できます。
畑や貸し農園・農地転用の活用プラン
農業を趣味とする人が増えている近年、畑や貸し農園としての活用も人気です。地域住民の交流の場にもなり、コミュニティの活性化につながります。
クラウドファンディング型ふるさと納税を活用した農園プロジェクトなど、ユニークな取り組みも行われています。
コンビニ・店舗・商業施設の建設アイデア
広い土地であれば、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、商業施設などを誘致することも考えられます。地域住民の利便性を向上させるとともに、新たな雇用を生み出すことができます。
トランクルーム・資材置き場・自動販売機設置などの経営事例
- トランクルーム: 住宅事情から収納スペースが不足している都市部で需要が高まっています。
- 資材置き場: 建設業者や運送業者が、資材や車両を置くスペースとして活用するケースです。
- 自動販売機: 狭いスペースでも設置可能で、手軽に収益を得られます。
太陽光発電・コインパーキングなど初期費用の比較
活用の方法によって、初期費用や収益性は大きく異なります。
- 太陽光発電: 初期費用は高額ですが、長期的に安定した売電収入が見込めます。
- コインパーキング: 比較的初期費用を抑えられますが、立地条件が収益を大きく左右します。
面白い活用方法・自治体のユニークな事例紹介
近年では、以下のようなユニークな活用事例も増えています。
- コンテナを活用した「空き地リビング」: 佐賀県佐賀市では、市が借り上げた民有空き地にコンテナを設置し、地域の人が集える交流拠点として活用しています。
- 地域の広場としての整備: 福島県須賀川市では、文化施設に隣接する空き地を広場として整備し、イベントなどに活用しています。
- 地域の雪寄せ場: 青森県青森市では、空き地を地域の雪寄せ場として活用し、冬場の生活環境維持に貢献しています。
空き地活用成功のために把握しておくべきポイント
事前調査と需要・市街化調整区域等の規制把握
空き地活用を成功させるためには、徹底した事前調査が不可欠です。
- 需要の把握: どのようなニーズがあるか、周辺環境を分析しましょう。
- 法規制の確認: 用途地域や市街化調整区域などの法規制により、活用方法が制限される場合があります。特に市街化調整区域では、原則として建物の建築が許可されないため、活用方法が限定されます。
空き地活用に必要な費用・収益性・リスク分析
活用プランごとに、必要な初期費用、維持管理費用、収益性を具体的にシミュレーションしましょう。
また、事業が計画通りに進まないリスク(空室リスク、災害リスクなど)も十分に分析しておくことが重要です。
固定資産税・都市計画税など税金対策と節税ポイント
土地を所有しているだけでかかる税金に、固定資産税と都市計画税があります。
これらは、土地の評価額に応じて課税されますが、住宅用地として利用したり、事業を行うことで税負担が軽減される場合があります。
近隣や隣地とのトラブル防止・維持管理方法
活用を始める前に、近隣住民に配慮した計画を立て、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。また、定期的な清掃や修繕など、適切な維持管理も欠かせません。
不動産会社・専門家の活用と相談
複雑な手続きや専門的な知識が必要な空き地活用では、専門家のサポートが不可欠です。
村上行政書士事務所は、行政書士の資格に加えて宅地建物取引士と認定空き家再生診断士の資格を保有しており、空き地・空き家問題の専門家として、ワンストップでご相談を承ります。
法規制の調査から、具体的な活用プランの提案、収益性シミュレーションまで、お客様の状況に合わせた最適なサポートを提供します。
空き地活用の種類別メリット・デメリット比較
賃貸・売却・一括借上げ|選択肢ごとの特徴と選び方
- 賃貸: 長期的な安定収入が得られますが、管理の手間や空室リスクがあります。
- 売却: 一度にまとまった現金を得られますが、将来的な土地の価値上昇の恩恵は受けられません。
- 一括借上げ(サブリース): 管理会社が土地を借り上げて活用するため、管理の手間がなく、安定した賃料収入が得られます。
建物を建てる場合(住宅・戸建て・マンション等)のポイント
建物を建てる場合は、多額の初期費用がかかりますが、高い収益性が見込めます。
建築基準法や都市計画法など、多くの法規制をクリアする必要があるため、専門家への相談が必須です。
建物無しで使う場合(駐車場・資材置き場・トランクルーム等)の特徴
初期費用を抑えたい場合や、将来的に別の活用を検討している場合におすすめです。
建物を建てる場合と比べて、法規制の制約が少ないケースが多いです。
収益ビジネス化・まちづくり併用のコツとアイデア
- 収益化: 駐車場、アパート経営など、収益性を重視した活用。
- まちづくり: 広場やコミュニティスペースなど、地域の交流を目的とした活用。
両者を組み合わせることで、地域貢献と収益確保を両立させることも可能です。
空き地活用を成功に導くステップと注意点
目的とプランの明確化・自治体や地域との連携
まずは、「何のために空き地を活用したいのか」という目的を明確にしましょう。そして、自治体や地域住民と連携し、地域全体の利益につながるプランを立てることが重要です。
資産価値・収益性の長期的視点とリスク対策
目先の収益だけでなく、将来的な資産価値の変化や、市場の動向を見据えた長期的な視点でプランを検討しましょう。
相続・法規制・補助金・制度活用のポイント
空き地活用には、相続問題や多くの法規制が関わってきます。
令和2年には土地基本法が改正され、土地の適正な利用に加え、適正な「管理」の確保の必要性が明確にされました。
また、所有者不明土地に関する課題に対しては、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が制定され、令和4年には改正も行われています。
自治体によっては、空き地活用に関する補助金を設けている場合もあるので、これらの制度を積極的に活用することで、初期費用を抑えることができます。
トラブル・コスト・維持管理への具体的な対策
近隣トラブルを避けるために、事前の説明や、プライバシーに配慮した設計が重要です。
また、維持管理コストを考慮し、無理のない範囲で運用できるプランを選びましょう。
【事例紹介】地域発展に貢献した空き地活用の成功事例
田舎・都市部それぞれの代表的な事例
- 田舎: 放置されていた畑を貸し農園として再生し、地元住民や都市部からの利用者を呼び込み、交流人口を増やした事例。
- 都市部: 狭い空き地にコインパーキングを設置し、周辺の駐車場不足を解消するとともに、安定した収益を得ている事例。
自治体主導・民間連携の成功パターン
- 自治体主導: 公的な資金を投じて、空き地を公園や広場として整備し、住民の憩いの場を創出した事例。
- 民間連携: 行政と民間企業が連携し、空き地に商業施設や交流拠点を建設し、地域の活性化を図った事例。
市街化調整区域での活用実例と得られた効果
市街化調整区域にある空き地を、農産物の直売所や体験農園として活用し、地域の特色を活かした産業を創出した事例もあります。
これにより、地域外からの来訪者が増え、地域経済の活性化につながっています。

空き地を活かして地域を発展させるためにできること

空き地は、所有者にとっては負担となることもありますが、見方を変えれば、地域を再生させるための大きな可能性を秘めた資源です。
収益確保、資産価値向上、そして地域貢献。これらを実現するためには、適切な事前調査と、長期的な視点での計画が不可欠です。
空き地活用の第一歩として、まずは専門家にご相談ください。
松山市の村上行政書士事務所は、行政書士、宅地建物取引士、認定空き家再生診断士のトリプルライセンスで、空き地活用の専門家として皆様のお悩みに寄り添います。
最適な活用方法を一緒に考え、手続きから運用までトータルでサポートいたします。 空き地でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考資料:空き地等の新たな活用(国土交通省)