
遠方実家が空き家…相続放棄で固定資産税は?知っておくべきこと
両親が亡くなり、実家が空き家になってしまいそう。固定資産税はいくらかかるのか?
相続放棄したほうがよいのか悩んでいるのではないでしょうか?
50代を迎え、ご自身の老後や子世代のことも考え始めるこの時期に、ご実家が空き家になる問題は、遠方になると大きな悩みの種となると思います。
- 定期的に帰省して管理するのは難しい
- 固定資産税の負担が増えるのは避けたい
- 将来、子どもたちに迷惑をかけたくない
そんなお気持ちから、相続放棄をすれば解決するのではないか?とお考えになるかもしれません。

相続放棄とは、民法に基づき、家庭裁判所へ申述を行うことで、故人の一切の財産(預貯金や不動産といったプラスの財産はもちろん、借金などのマイナスの財産も含む)を相続しないことを決定する法的手続きです。
相続放棄を検討されている方へ:家庭裁判所への申述手続きは、司法書士または弁護士の専門業務となります。
しかし、相続放棄は、一度行うと原則として撤回できません。
安易な判断は、後で「こんなはずじゃなかった!」と後悔することにつながりかねません。
このページでは、遠方にお住まいで空き家の相続にお悩みの方、特に50代以上の皆様へ、相続放棄を検討する前に必ず知っておくべき重要なポイントと、行政書士がお手伝いできることについて、丁寧にご説明します。
その相続放棄、ちょっと待って!50代が知るべき3つの落とし穴
相続放棄は、亡くなった方の財産(プラスもマイナスも)を一切受け継がないという、強力な選択肢です。遠方にある空き家を手放す解決策として魅力的に映るかもしれません。
しかし、50代のあなたがこの選択をする前に、以下の3つの落とし穴を深く考えてみてください。
1.空き家以外の「隠れた財産」を見落としていませんか?
相続放棄は、空き家だけでなく、預貯金、有価証券、さらにはプラスの財産となる土地や、故人の趣味で集めていた価値のある品々など、全ての財産と、借金などの負債に対しても行われます。 例えば、空き家以外に、ご自身も知らなかった価値のある財産があったとしても、放棄してしまえばそれらも受け取ることができません。一方で、隠れた負債(借金や未払金など)がある可能性もあります。まずは、親の財産状況を、可能な範囲で正確に把握することが非常に重要です。
2.親から子へ…次の世代に「負の空き家」を押し付けていませんか?
あなたが相続放棄をすると、相続権は次の順位の相続人へ移ります。
例えば、あなたが故人の「子」で相続放棄をすれば、故人の「兄弟姉妹」、あるいは故人に兄弟姉妹がいなければ、あなたの「子」(つまり故人の孫)が新たな相続人となる可能性があります。
もし、あなたの兄弟姉妹も遠方に住んでいたり、ご自身の老後を考えたりしている段階であれば、その方に負担を押し付けることになりかねません。また、あなたの「子」が相続人になった場合、
まだ若く、空き家問題に対処する知識や時間がない可能性もあります。
事前に親族間、特にご自身の「子」とも話し合いを行い、将来的なトラブルを避けるために情報共有をすることが非常に重要です。
3.相続放棄すれば、固定資産税の心配は必要ないのか?
原則として、相続放棄が家庭裁判所で正式に受理されれば、あなたは空き家の所有者ではなくなり、固定資産税の支払い義務もなくなります。 しかし、民法第940条には「相続の放棄をした者であっても、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでは、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」という規定があります。
これは、次に相続人になる方が空き家の管理を始めるまで、あなたが最低限の管理責任(例えば、倒壊の危険がないか、不法投棄がないか、近隣に迷惑をかけていないかなど)を負う可能性があるということです。特に、空き家が「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されるような状態であれば、行政から指導が入ることも考えられ、完全に「手放した」と安心できるまでには時間がかかる場合があることを心に留めておきましょう。
相続放棄以外にもある!遠方の空き家を「負動産」にしない現実的な選択肢とは
相続放棄は最終手段の一つですが、それ以外にも遠方の空き家問題を解決し、さらには将来のための資産として活用できる可能性を秘めています。
1.売却して「老後資金」に充てる
空き家を売却できれば、固定資産税の負担から解放され、まとまった売却益を得ることができます。
これを自身の老後資金や、子世代への支援に充てることも可能です。遠方からでも、オンラインでのやり取りや現地の専門家などを活用して、手続きを進めることは十分に可能です。特に、相続した空き家を売却する際に利用できる「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」などの税制優遇措置は、50代の皆様にとって大きなメリットとなる可能性があります。

2.賃貸に出して「安定収入」を得る
リフォーム費用がかかる場合もありますが、賃貸物件として貸し出すことで、定期的な家賃収入を得ることができます。これを私的年金のように活用することも考えられます。管理を専門の不動産管理会社に委託すれば、遠方にお住まいでも日々の管理の手間はかかりません。
3.地域貢献や子世代へ「新しい価値」を提供する活用
もし、実家が立地や条件に恵まれているなら、シェアハウス、民泊、地域交流スペース、サテライトオフィスなど、ユニークな形で空き家を地域のために活用する動きも増えています。
行政の補助金制度などを利用できる可能性もあり、親が残した家を「新しい価値」として子世代へ繋ぐこともできるでしょう。
「どうすればいい?」悩んだら、まず村上行政書士事務所にご相談ください!
「結局、どれが自分たち家族にとって一番良い方法なのか…」
「空き家以外にも親の財産があるかもしれないが、どう調べればいいのか…」
遠方の空き家問題は、時間的・物理的な制約に加え、法律や税金、そして何よりご家族の将来に関わるデリケートな問題です。一人で抱え込まず、まずは専門家にご自身の状況を整理してもらうことが解決への第一歩となります。
村上行政書士行政書士では、空き家の活用方法や相続手続きの入口として、お客様の状況を詳しくお伺いし、相続財産や相続人の現状を把握するお手伝いをいたします。 その情報に基づき、相続放棄の適否についての法的な判断・助言は弁護士や司法書士の業務となりますが、当事務所では、相続財産や相続人の現状を把握するお手伝いを通じて、お客様がご自身の状況を整理し、適切な専門家へ相談するための準備をサポートいたします。
必要に応じて適切な専門家(弁護士、司法書士、税理士、不動産業者など)をご紹介することで、お客様の負担を軽減し、スムーズな空き家問題の解決に取り組んで参ります。
また、行政書士としてお手伝いできること、できないことがありますので、以下のことをご確認ください。行政書士の立ち位置を明確にし、「相続財産調査」「相続人調査」を通じて情報を提供し、必要に応じて「適切な専門家への紹介」を行えることが村上行政書士事務所の強みでもあります。
- 相続人調査:戸籍謄本等の収集により、誰が相続人であるかを確定する。
- 相続財産調査:財産目録の作成など、相続財産を把握する。
- 相続関係説明図の作成:相続人の関係を図にまとめる。
- 遺産分割協議書の作成:相続人全員で合意した遺産分割の内容を書面にする。
- 遺言書作成のサポート:遺言内容の相談、文案作成、公正証書遺言作成時の公証役場との調整など。
- 銀行預金の名義変更手続き:金融機関での手続きを代行する。
- 相続放棄の申述代理や書類作成:家庭裁判所に提出する相続放棄申述書の作成や代理申述はできません。
- 相続トラブルの解決や交渉:相続人同士の紛争解決や、代理人として交渉を行うことはできません(弁護士の独占業務)。。
- 相続登記(不動産の名義変更):法務局への不動産登記申請はできません(司法書士の独占業務)。
- 相続税の申告や税務相談:相続税の計算や申告、税務相談はできません(税理士の独占業務)。
- 法律相談:具体的な法律判断や法的紛争に関する相談に応じることはできません。
村上行政書士事務所は、お客様が遠方にお住まいでも、ご負担を最小限に抑えながら、心穏やかに問題解決を進められるよう、全力でサポートいたします。
空き家問題は、早めに相談するほど解決の選択肢が広がり、将来の安心へとつながります。 諦める前に、まずは一度、お気軽にご相談ください。